問5:わが国の刑事司法制度に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
- A:公訴の提起は、原則として検察官のみがこれを行うことができる。
- B:検察官は、犯罪の嫌疑が認められる場合であっても、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状等を考慮して、公訴を提起しないことができる。
- C:検察審査会で第1段階の起訴相当議決がされ、検察官が再捜査後も不起訴処分をした場合などに行われる第2段階の審査で起訴議決がされると、強制起訴の手続に進む。
- D:起訴議決に基づく強制起訴においては、検察官が改めて公訴を提起し、その訴追活動を担当する。
- E:日本司法支援センター(法テラス)は、民事法律扶助や国選弁護に関連する業務などを行っている。
【第5問:正解と解説】
正解:D
・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。起訴独占主義(刑事訴訟法247条)の内容である。
・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。起訴便宜主義(刑事訴訟法248条)の内容であり、これに基づく処分を起訴猶予という。
・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。第1段階で11人中8人以上により起訴相当議決がされ、検察官が再捜査後も不起訴処分をした場合などには、第2段階の審査が行われる。第2段階で11人中8人以上により起訴議決がされると、裁判所が指定した弁護士が公訴を提起し、その維持に当たる。第1段階の「起訴相当議決」と第2段階の「起訴議決」は異なる議決である。この強制起訴の制度は、検察官の起訴独占主義の重要な例外である。
・D
【論点】
検察審査会制度と強制起訴の担い手
【考え方】
起訴議決があった場合、公訴の提起とその維持にあたるのは、裁判所が指定した弁護士(指定弁護士)であって検察官ではない。不起訴とした検察官に改めて起訴させるのでは制度の実効性が確保できないため、検察官の職務を弁護士が行う仕組みが採られている。
【選択肢解説】
本肢は強制起訴の担い手を検察官としており、妥当でない。よって本問の正解である。
・E
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。法テラスは総合法律支援法に基づく法人であり、情報提供・民事法律扶助・国選弁護関連業務等を行う。
関連過去問:H25,問2
問6:わが国の司法制度に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
- A:簡易裁判所は、訴訟の目的の価額が140万円を超えない民事事件について第一審の裁判権を有する。
- B:検察官が不起訴処分をした事件について、検察審査会の第2段階の審査で起訴議決がされた場合であっても、強制的に公訴が提起されることはない。
- C:知的財産高等裁判所は、東京高等裁判所の特別の支部として設けられている。
- D:裁判員裁判の対象となるのは、死刑または無期拘禁刑に当たる罪など、一定の重大な刑事事件の第一審である。
- E:家庭裁判所は、家庭に関する事件の審判・調停および少年の保護事件の審判等を行う裁判所であり、憲法の禁止する特別裁判所にはあたらない。
【第6問:正解と解説】
正解:B
・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。簡裁の事物管轄(140万円以下)のとおり。地裁との管轄の分かれ目の数字。
・B
【論点】
検察審査会の起訴議決制度と強制起訴
【考え方】
第1段階で起訴相当議決がされ、検察官が再捜査後も不起訴処分をした場合などには、第2段階の審査が行われる。第2段階で起訴議決がされると、検察審査会の所在地を管轄する地方裁判所が指定弁護士を指定し、指定弁護士が検察官に代わって公訴を提起し、その維持に当たる。
【選択肢解説】
本肢は、起訴議決後も強制的に公訴が提起されないとしているため、妥当でない。よって本問の正解である。
・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。知財高裁は2005年に東京高裁の特別の支部として設置された。
・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。裁判員裁判の対象には、死刑または無期拘禁刑に当たる罪に係る事件や、法定合議事件のうち故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた罪に係る事件などが含まれる。裁判員が関与するのは地方裁判所における第一審であり、控訴審には関与しない。
・E
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。家裁は最高裁の系列に属する下級裁判所であり、特別裁判所(76条2項)にあたらない。
関連過去問:H25,問2
