行政書士 基礎法学 応用編(1〜2問)|法学一般

問1:法令用語に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  • A:併合的な接続に段階がある場合、大きな接続には「及び」を、小さな接続には「並びに」を用いる。
  • B:「みなす」と規定されている場合、当事者が反対の事実を証明すれば、その法律上の取扱いを覆すことができる。
  • C:「その他の」という語が用いられている場合、その前にある語句は、後にある包括的な語句の例示として、これに含まれる関係にある。
  • D:「遅滞なく」は、時間的即時性を示す法令用語のうち最も強いものであり、一切の遅れを許さない趣旨で用いられる。
  • E:「科する」は租税や負担金などの金銭的負担について用いられ、「課する」は刑罰や過料などの制裁について用いられる。
【第1問:正解と解説】

正解:C

・A
【選択肢解説】
妥当でない。大小の関係が逆である。併合的接続では小さな接続に「及び」、大きな接続に「並びに」を用いる。選択的接続(大きい方が「又は」)と混同させる典型的なひっかけである。

・B
【選択肢解説】
妥当でない。反証によって覆すことができるのは「推定する」である。「みなす」は本来異なるものを法律上同一のものとして確定的に扱う語であり、反証を許さない。

・C
【論点】
法令用語の正確な理解(その他の・及び並びに・みなす推定・時間的即時性・科する課する)

【考え方】
「その他」は前後の語句が並列関係にあることを、「その他の」は前の語句が後の包括的語句の例示であることを示す。「賃金、給料その他の給与」であれば、賃金・給料は「給与」に含まれる例示である。

【選択肢解説】
本肢は「その他の」の意味を正しく述べており、妥当である。

・D
【選択肢解説】
妥当でない。一般に、時間的即時性は「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」の順に強い。「遅滞なく」は、正当または合理的な理由による遅れを許容し得る表現であり、最も強い表現ではない。なお、「直ちに」は一切の遅滞を許さない趣旨であるが、物理的に一切の時間経過を認めないという意味ではない。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。用法が逆である。「科する」は刑罰・過料などの制裁に、「課する」は租税・負担金などの金銭的負担に用いられる。

関連過去問:H26,問2


問2:法の分類および効力に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

  • A:特定の人・事項・地域について適用される特別法は、一般法に優先して適用される。
  • B:形式的効力を同じくする法令の規定が相互に矛盾し、特別法と一般法の関係にない場合には、後に成立した法が先に成立した法に優先する。
  • C:実行の時に適法であった行為について、事後に制定された法律によって刑事上の責任を問うことは、憲法上禁止されている。
  • D:公の秩序又は善良の風俗に反しない慣習は、法令の規定により認められたもの又は法令に規定されていない事項に関するものに限り、法律と同一の効力を有する。
  • E:わが国が締結した条約は、国内法秩序において憲法に優位する効力を有すると解するのが通説である。
【第2問:正解と解説】

正解:E

・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。同じ事項について一般法と特別法が競合する場合には、原則として特別法が一般法に優先する。例えば、商事に関して商法に定めがある事項には、一般法である民法に先立って商法が適用される。

・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。形式的効力を同じくする法令が相互に矛盾し、一般法と特別法の関係によって処理できない場合には、原則として後に成立した法が先に成立した法に優先する。ただし、後に制定された一般法が先に存在する特別法を変更または廃止する趣旨を有するかは、両法の文言、目的、適用対象および制定経緯などを踏まえて判断される。

・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。遡及処罰の禁止(事後法の禁止)であり、憲法39条が明文で定める絶対的な禁止である。

・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。法の適用に関する通則法3条の内容を正しく述べている。慣習の効力は法令に規定のない事項等に関する補充的なものである。

・E
【論点】
法の効力関係(特別法優先・後法優先・不遡及・慣習法・条約の国内的効力)

【考え方】
条約は誠実に遵守することを要し(憲法98条2項)、国内的には法律に優位するが、憲法には劣ると解するのが通説である。条約が憲法に優位するとすれば、条約締結によって憲法改正手続を経ずに憲法を変更できることになり、硬性憲法の建前に反するからである。

【選択肢解説】
本肢は条約が憲法に優位するとしており、通説と異なるため妥当でない。よって本問の正解である。

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