問1:わが国の裁判所制度に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- A:特別裁判所の設置は憲法上禁止されているが、知的財産高等裁判所は東京高等裁判所の特別の支部として設けられたものであり、特別裁判所にはあたらない。
- B:行政機関は、終審としてはもとより、前審としても裁判を行うことは一切許されない。
- C:家庭裁判所は家庭に関する事件のみを取り扱う裁判所であるから、憲法の禁止する特別裁判所にあたり、違憲の疑いがあるとするのが判例・通説である。
- D:下級裁判所は、高等裁判所・地方裁判所・簡易裁判所の3種類である。
- E:簡易裁判所は、訴訟の目的の価額が60万円を超えない請求について第一審の裁判権を有する。
【第1問:正解と解説】
正解:A
・A
【論点】
特別裁判所の禁止(憲法76条2項)と裁判所の組織
【考え方】
特別裁判所とは通常裁判所の系列から独立した裁判機関(明治憲法下の軍法会議など)をいう。特定の種類の事件のみを扱う裁判所であっても、通常裁判所の系列に属していれば特別裁判所ではない。知的財産高等裁判所は司法制度改革の一環として設置されたが、東京高等裁判所の特別の支部であり、系列内の機関である。
【選択肢解説】
本肢はこの理を正しく述べており、妥当である。
・B
【選択肢解説】
妥当でない。憲法76条2項後段が禁止するのは、行政機関が「終審として裁判」を行うことである。裁判所法3条2項は、行政機関が前審として審判することを妨げないと定めており、行政不服審査などの審判・裁決後に裁判所へ出訴できる制度は許容される。
・C
【選択肢解説】
妥当でない。家庭裁判所は、最高裁判所を頂点とする通常裁判所の系列に属する下級裁判所であり、憲法76条2項が禁止する特別裁判所にはあたらない。また、家庭裁判所は家事事件だけでなく少年事件も扱うため、「家庭に関する事件のみを取り扱う」という点も誤りである。
・D
【選択肢解説】
妥当でない。下級裁判所は高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所の4種類である(裁判所法2条)。
・E
【選択肢解説】
妥当でない。簡易裁判所の民事の事物管轄は訴額140万円以下である(裁判所法33条1項1号)。60万円以下という数字は少額訴訟の対象額であり、混同を狙った肢である。
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問2:裁判の形式および上訴に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
- A:判決は、裁判所が原則として口頭弁論を経たうえで行う裁判である。
- B:命令は、裁判長や受命裁判官など、裁判官が行う裁判である。
- C:法令により不服申立てが認められた決定・命令に対する上訴は抗告と呼ばれ、判決に対する控訴・上告と区別される。
- D:上告審は原則として法律審であり、事実認定を全面的にやり直す審級ではないが、具体的な上告理由や手続は民事訴訟と刑事訴訟で異なる。
- E:第一審の判決に不服のある当事者は、直ちに上告をすることができるのが原則である。
【第2問:正解と解説】
正解:E
・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。判決は裁判所が行う裁判であり、原則として必要的口頭弁論を経る点に特徴がある。
・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。命令の主体は裁判所ではなく裁判官である。判決・決定(主体は裁判所)との区別の基本である。
・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。判決に対する上訴には控訴・上告があり、法令によって不服申立てが認められた決定・命令に対する上訴を抗告という。ただし、すべての決定・命令に当然に抗告できるわけではなく、抗告の可否は法令の定めによる。
・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。上告審は原則として法律審であり、主として法令解釈や手続上の違法などの法律問題を審査する。もっとも、具体的な上告理由や手続は、民事訴訟法と刑事訴訟法で異なるため、両者を完全に同一のものとして理解してはならない。
・E
【論点】
三審制における上訴の順序(控訴と上告)
【考え方】
三審制のもとでは、第一審判決に対する上訴は控訴であり、控訴審判決に対する上訴が上告である。第一審から直ちに上告するのは、当事者双方の合意がある場合の飛越上告(跳躍上告)など例外的な場合に限られ、「原則」とする本肢は誤りである。
【選択肢解説】
本肢は控訴を経ずに直ちに上告できるのが原則としており、妥当でない。よって本問の正解である。
関連過去問:H27,問2
