行政書士 商法・会社法 応用編(1〜2問)|会社法設立

問1:株式会社の設立に関する次の記述のうち、会社法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  • A:定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。
  • B:発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない。
  • C:定款に記載のない財産引受けは無効であり、成立後の会社が追認しても有効とはならない。
  • D:株式会社の設立の無効は、会社成立の日から2年以内に、訴えをもってのみ主張することができる。
  • E:設立無効の判決が確定したときは、会社は設立の時に遡って存在しなかったものとみなされる。
【第1問:正解と解説】

正解:E

・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。30条1項のとおり。

・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。25条2項のとおり。発起設立・募集設立に共通する。

・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。判例のとおり。28条の趣旨(会社財産の保護)の潜脱を防ぐため追認も許されない。

・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。828条1項1号のとおり(原告適格も株主等に限定)。

・E
【論点】会社関係訴訟における無効判決の不遡及(839条)

【考え方】
設立無効判決が確定しても、その効力は将来に向かってのみ生じ、それまでに会社がした行為の効力は覆されない。会社を中心に積み重ねられた多数の法律関係の安定を保護する趣旨であり、無効判決後は解散に準じて清算が行われる。

【選択肢解説】
本肢は遡及効を認めており妥当でない。よって本問の正解である。「対世効あり・遡及効なし」の組合せは新株発行無効・合併無効にも共通する。

関連過去問:R2,問37


問2:株式会社の設立に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、妥当でないものはどれか。

  • A:発起設立の場合、発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その全額の払込みをしなければならない。
  • B:現物出資および財産引受けに係る現物出資財産等については、定款に記載または記録し、原則として裁判所の選任する検査役の調査を受けなければならない。ただし、これらの現物出資財産等について定款に記載または記録された価額の総額が500万円を超えない場合には、検査役の調査は不要である。
  • C:払込みを仮装した発起人は、会社に対し、仮装した出資に係る金額の全額の支払義務を負う。
  • D:設立時取締役は、発起設立においては、創立総会の決議によって選任される。
  • E:募集設立においては、創立総会を開催しなければならない。
【第2問:正解と解説】

正解:D

・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。全額払込主義(34条1項)のとおり。

・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。現物出資および財産引受けに関する事項は、定款に記載または記録しなければ効力を生じず(28条1号・2号)、原則として、公証人による定款認証後、裁判所が選任する検査役の調査を受けなければならない(33条1項)。

ただし、現物出資財産等、すなわち28条1号の現物出資財産と同条2号の財産引受けの対象財産について、定款に記載または記録された価額の総額が500万円を超えない場合には、検査役の調査は不要である(33条10項1号)。500万円以下かどうかは、現物出資だけでなく、財産引受けを含む現物出資財産等の価額を合算して判定する。

このほか、市場価格のある有価証券について定款記載価額が法定の市場価格を超えない場合や、弁護士、公認会計士、税理士等による相当性の証明を受けた場合などにも、検査役調査の例外がある(同項2号・3号)。

・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。52条の2第1項のとおり(無過失責任)。

・D
【論点】設立時役員の選任機関の違い

【考え方】
設立時取締役等の選任は、発起設立では「発起人の議決権の過半数」により(40条)、募集設立では「創立総会の決議」による(88条)。設立方式による手続の違い(払込金保管証明の要否も同様)を問う定番の対比である。

【選択肢解説】
本肢は発起設立で創立総会によるとしており妥当でない。よって本問の正解である。

・E
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。65条のとおり。

関連過去問:H28,問37/R5,問37


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