行政書士 商法・会社法 応用編(1〜2問)|商法総則・商行為

問1:商法総則・商行為に関する次の記述のうち、商法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  • A:自己の商号を使用して営業を行うことを他人に許諾した商人は、相手方が営業主を誤認したかどうかにかかわらず、その取引によって生じた債務について弁済の責任を負う。
  • B:営業を譲り受けた商人が譲渡人の商号を引き続き使用する場合であっても、譲受人は譲渡人の営業によって生じた債務について責任を負うことはない。
  • C:商行為の代理人が本人のためにすることを示さないで行為をした場合であっても、その行為は原則として本人に対して効力を生ずる。
  • D:数人の者がその一人のために商行為となる行為によって債務を負担した場合、各債務者は分割債務を負う。
  • E:商人がその営業の範囲内において他人のために行為をした場合であっても、特約がなければ報酬を請求することができない。
【第1問:正解と解説】

正解:C

・A
【選択肢解説】
妥当でない。名板貸人の責任(14条)は、相手方が名板貸人を営業主と「誤認して」取引をしたことが要件である。

・B
【選択肢解説】
妥当でない。商号続用の譲受人は譲渡人の営業によって生じた債務について弁済責任を負う(17条1項)。免責には登記又は通知が必要。

・C
【論点】商行為の代理における非顕名主義(504条)

【考え方】
大量反復的な商取引では、いちいち本人の名を示さなくても取引の効果を本人に帰属させるのが当事者の通常の意思に合致し迅速でもある。そこで商法は民法の顕名主義を修正した。相手方が本人のためにすることを知らなかったときは、代理人への履行請求も認めて相手方を保護する。

【選択肢解説】
本肢は504条本文のとおりであり、妥当である。

・D
【選択肢解説】
妥当でない。商行為による多数当事者の債務は連帯債務となる(511条1項)。民法の分割主義(427条)の修正である。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。商人がその営業の範囲内で他人のために行為をしたときは、特約がなくても相当な報酬を請求できる(512条)。

関連過去問:R4,問36/R5,問36


問2:商人間の売買等に関する次の記述のうち、商法の規定に照らし、妥当なものはどれか。

  • A:商人間の売買において、買主は目的物を受領したときは遅滞なくその物を検査し、契約不適合を発見したときは直ちに売主に通知しなければ、その不適合を理由とする担保責任の追及ができない。
  • B:商人間の売買における買主の検査・通知義務は、売主が契約不適合につき悪意であった場合にも適用される。
  • C:商人が平常取引をする者から営業の部類に属する契約の申込みを受けて諾否の通知を怠った場合、申込みは拒絶されたものとみなされる。
  • D:商人間において、その一方のためにのみ商行為となる行為によって生じた債権についても、商事留置権が成立する。
  • E:定期売買において買主が履行を怠った場合、売主が直ちに履行の請求をしなければ、契約は解除されたものとみなされるという規律は存在しない。
【第2問:正解と解説】

正解:A

・A
【論点】商人間の売買の検査・通知義務(526条)

【考え方】
商人間の売買では取引の迅速な決済が要請されるため、買主に受領時の検査義務と不適合発見時の即時通知義務が課され、これを怠ると追完請求・代金減額・損害賠償・解除のいずれもできなくなる。民法(知った時から1年の通知・566条)の大幅な加重である。

【選択肢解説】
本肢は妥当である。

・B
【選択肢解説】
妥当でない。売主が悪意の場合には526条は適用されない(同条3項)。悪意の売主を迅速主義で保護する必要はないからである。

・C
【選択肢解説】
妥当でない。諾否の通知を怠ったときは、申込みを「承諾した」ものとみなされる(509条2項)。拒絶ではなく承諾擬制である点が核心。

・D
【選択肢解説】
妥当でない。商事留置権の成立には、債権が「双方のために」商行為となる行為によって生じたことが必要である(521条)。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。定期売買において当事者の一方が履行せずに時期を経過したときは、相手方が直ちに履行の請求をした場合を除き、契約の解除をしたものとみなされる(525条)。この規律は存在する。

関連過去問:R5,問36


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