問1:株式会社の機関に関する次の記述のうち、会社法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
- A:取締役会設置会社の株主総会は、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。
- B:株主総会の決議の内容が法令に違反する場合、株主は決議の日から3か月以内に限り、決議の無効の確認を訴えをもって請求することができる。
- C:取締役が自己のために会社と取引をしようとする場合には、取締役会設置会社においては、取締役会の承認を受けなければならない。
- D:指名委員会等設置会社を除き、取締役の報酬等について定款に会社法361条1項各号に掲げる事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
- E:取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、その議決に加わることができない。
【第1問:正解と解説】
正解:B
・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。295条2項のとおり。
・B
【論点】決議無効確認の訴えの性質(830条2項)
【考え方】
決議内容の法令違反は重大な瑕疵であるため、無効の主張には期間の制限も主張権者の制限もなく、確認の利益がある限り誰でもいつでも訴えを提起できる。3か月の提訴期間に服するのは、手続の瑕疵等を事由とする決議取消しの訴え(831条)である。
【選択肢解説】
本肢は無効確認に3か月の期間制限を付しており妥当でない。よって本問の正解である。「取消し=3か月・原告限定/無効・不存在=制限なし」の対比が核心。
・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。356条・365条のとおり。
・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。指名委員会等設置会社を除き、取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益について会社法361条1項各号に掲げる事項を定款に定めていないときは、株主総会の決議によって定める(361条1項)。
監査等委員会設置会社では、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して定めなければならない(同条2項)。
これに対し、指名委員会等設置会社では、361条1項にかかわらず、報酬委員会が執行役、取締役および会計参与の個人別の報酬等の内容を決定する(404条3項・409条)。本肢は指名委員会等設置会社を除外しているため、妥当である。
・E
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。369条2項のとおり(例:利益相反取引の承認における当該取締役)。
関連過去問:R6,問38/R6,問40
問2:取締役会に関する次の記述のうち、会社法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
- A:取締役会設置会社(監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除く。)の取締役会は、重要な財産の処分および譲受けや多額の借財についての決定を、取締役に委任することができない。
- B:取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行うのが原則である。
- C:代表取締役の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
- D:取締役会の招集通知は、書面によることを要せず、口頭ですることもできる。
- E:取締役会設置会社の株主は、いかなる場合も取締役会の招集を請求することができない。
【第2問:正解と解説】
正解:E
・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。取締役会設置会社(監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除く。)の取締役会は、重要な財産の処分および譲受け、多額の借財その他の重要な業務執行の決定を、取締役に委任することができない(362条4項1号・2号)。
ただし、監査等委員会設置会社では別の規律が設けられている。例えば、取締役の過半数が社外取締役である監査等委員会設置会社では、取締役会は、法定の除外事項を除き、重要な業務執行の決定を取締役に委任することができる(399条の13第5項)。
したがって、「取締役会設置会社」一般について無限定に委任できないとするのは不正確であり、本肢のように会社類型を限定する必要がある。
・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。369条1項のとおり(定款による加重可・軽減不可)。
・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。349条5項のとおり。
・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。取締役会の招集通知(368条)に書面性の要求はなく、口頭・電話でもよい。株主総会(書面原則)との違い。
・E
【論点】株主による取締役会招集請求(367条)
【考え方】
監査役設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社「以外」の取締役会設置会社では、株主は、取締役の法令定款違反行為(のおそれ)がある場合に取締役会の招集を請求でき、招集されないときは自ら招集できる(367条)。監査機関がない会社での株主による直接監督の途である。
【選択肢解説】
本肢は「いかなる場合も」請求できないとしており妥当でない。よって本問の正解である。
関連過去問:R1,問39/R7,問38
