行政書士 商法・会社法 応用編(1〜2問)|計算その他

問1:持分会社および組織再編に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、妥当なものはどれか。

  • A:合資会社は、有限責任社員のみで構成される持分会社である。
  • B:合同会社の社員になろうとする者は、定款の作成後、設立の登記をする時までに、その出資に係る金銭の全額を払い込まなければならない。
  • C:吸収合併において、消滅会社の権利義務は、個別の移転手続を経ることによって存続会社に承継される。
  • D:事業の全部の譲渡をする場合には、債権者異議手続をとらなければならない。
  • E:剰余金の配当は、株主総会の決議があれば、分配可能額を超えて行うことができる。
【第1問:正解と解説】

正解:B

・A
【選択肢解説】
妥当でない。合資会社は無限責任社員と有限責任社員で構成される(576条3項)。有限責任社員のみは合同会社。

・B
【論点】合同会社の全額出資規制(578条)

【考え方】
合同会社は全社員が有限責任であるため、会社債権者の引当ては会社財産のみとなる。そこで債権者保護の見地から、設立登記の時までに出資の全額の履行が要求される(株式会社の全額払込主義と同じ発想)。

【選択肢解説】
本肢は578条のとおりであり、妥当である。

・C
【選択肢解説】
妥当でない。合併では権利義務は包括的に承継され、個別の移転手続を要しない。個別の移転を要するのは事業譲渡である。

・D
【選択肢解説】
妥当でない。事業譲渡に債権者異議手続はない。債務の移転には債権者の個別の同意が必要となるため、制度的な保護手続が不要だからである。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。分配可能額による財源規制(461条)は株主総会の決議によっても超えることができない強行規定である。違反配当には支払義務等の厳しい責任が課される。

関連過去問:H28,問40


問2:株式会社の計算に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、妥当なものはどれか。

  • A:資本金の額を減少するには、原則として株主総会の特別決議と債権者異議手続の双方が必要である。
  • B:会社の純資産額が300万円を下回る場合であっても、株主総会の決議があれば剰余金の配当をすることができる。
  • C:分配可能額を超えて剰余金の配当がされた場合、業務執行者は、職務について注意を怠らなかったことを証明しても、会社に対する支払義務を免れない。
  • D:資本準備金は、いかなる場合も取り崩すことができない。
  • E:会計監査人の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までである。
【第2問:正解と解説】

正解:A

・A
【論点】資本金の額の減少の手続(447条・449条)

【考え方】
資本金は会社債権者にとって最低限維持されるべき責任財産の基準額であるため、その減少には、株主保護のための総会特別決議(447条・309条2項9号。定時総会での欠損填補等の例外あり)と、債権者保護のための異議手続(449条)の双方が要求される。

【選択肢解説】
本肢は妥当である。

・B
【選択肢解説】
妥当でない。純資産300万円未満の場合の配当禁止(458条)は強行規定であり、総会決議でも覆せない。

・C
【選択肢解説】
妥当でない。業務執行者は、職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは支払義務を負わない(462条2項・過失責任)。無過失責任なのは交付を受けた株主の返還義務の側である。

・D
【選択肢解説】
妥当でない。準備金は、株主総会の決議(債権者異議手続が必要な場合あり)により減少させ、剰余金への振替え等をすることができる(448条)。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。会計監査人の任期は「1年」(選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで)であり、別段の決議がなければ再任されたものとみなされる(338条)。これに対し、監査役の任期は原則として「4年」であるが、公開会社でない株式会社では、定款により選任後10年以内まで伸長することができる(336条1項・2項)。

関連過去問:H30,問40


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