行政書士 商法・会社法 応用編(1〜2問)|株式

問1:株式に関する次の記述のうち、会社法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  • A:株主は、その有する株式の引受価額を超えて、会社の債権者に対して直接責任を負うことがある。
  • B:譲渡制限株式が会社の承認を得ずに譲渡された場合、その譲渡は当事者間においても無効である。
  • C:会社が保有する自己株式については、議決権は認められない。
  • D:公開会社において、株主総会の特別決議を経ることなく特に有利な払込金額で募集株式が発行された場合、その発行は無効となるとするのが判例である。
  • E:株式の併合は、株主の利益に影響を及ぼさないため、取締役会の決議によって行うことができる。
【第1問:正解と解説】

正解:C

・A
【選択肢解説】
妥当でない。株主の責任は引受価額を限度とする(104条・株主有限責任)。会社債権者への直接責任はない。

・B
【選択肢解説】
妥当でない。判例は承認のない譲渡も当事者間では有効とし、会社に対抗できないにとどまるとする。

・C
【論点】自己株式の法的地位(308条2項)

【考え方】
会社が自己株式について議決権を行使できるとすれば、経営者が会社資金で会社支配を歪めることが可能となる。そこで自己株式には議決権が認められず、定足数の算定からも除外される。剰余金配当請求権・残余財産分配請求権もない。

【選択肢解説】
本肢は妥当である。

・D
【選択肢解説】
妥当でない。判例は公開会社における有利発行の総会特別決議の欠缺は無効事由にあたらないとする(取引の安全を重視し、取締役の責任等で処理)。非公開会社(無効事由となる・最判平24.4.24)との対比が核心。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。株式の併合は端数の発生等により株主に重大な影響を与えるため、株主総会の特別決議を要する(180条2項・309条2項4号)。分割(取締役会で可)との対比。

関連過去問:H30,問38


問2:株式に関する次の記述のうち、会社法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  • A:単元未満株式についても、株主は議決権を行使することができる。
  • B:株券発行会社でない会社の株式譲渡は、株券の交付がなければ効力を生じない。
  • C:株式の併合により端数が生じる場合であっても、株式の併合には取締役会の決議で足りる。
  • D:株主名簿の基準日を定めた場合、基準日と権利行使の日との間は、3か月以内でなければならない。
  • E:譲渡制限株式の譲渡承認請求に対し、会社が2週間以内に決定の内容を通知しなかった場合、譲渡は承認されなかったものとみなされる。
【第2問:正解と解説】

正解:D

・A
【選択肢解説】
妥当でない。単元未満株式には議決権が認められない(189条1項)。

・B
【選択肢解説】
妥当でない。株券発行会社でない株式会社の株式譲渡には株券の交付は不要であり、当事者間では、原則として譲渡当事者の合意により効力を生ずる。株主名簿の名義書換えは、株式会社その他の第三者に対する対抗要件となる(130条1項)。

株券発行会社の株式譲渡では、原則として株券の交付が効力要件となる(128条1項本文)。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡には株券の交付を要しない(同項ただし書)。

また、株券発行前にされた株式譲渡について、判例は、譲渡当事者間では、株券の交付がないことをもってその効力が否定されることはないとする(最判令和6年4月19日)。もっとも、株券発行前にした譲渡は、原則として株券発行会社に対しては効力を生じない(128条2項)。

・C
【選択肢解説】
妥当でない。株式の併合には株主総会の特別決議が必要である(180条2項・309条2項4号)。

・D
【論点】基準日制度(124条)

【考え方】
会社は基準日を定め、基準日株主を権利行使者と定めることができるが、基準日と権利行使日の間は3か月以内でなければならない。株主の実態と名簿上の株主の乖離が大きくなりすぎることを防ぐ趣旨である。

【選択肢解説】
本肢は妥当である。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。株式会社が、譲渡等承認請求の日から2週間以内に、承認するか否かの決定内容を通知しなかった場合には、原則として、承認する旨の決定をしたものとみなされる(145条1号)。

ただし、定款で2週間を下回る期間を定めた場合にはその期間が適用される。また、株式会社と譲渡等承認請求者との合意により別段の定めをした場合には、みなし承認の規定は適用されない。

本肢は、通知がなかった場合に「承認されなかったものとみなされる」としており、結論が逆である。

関連過去問:H30,問38


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