問3:違憲審査制に関する次のア〜オの記述のうち、最高裁判所の判例および通説に照らし、妥当なものの組合せはどれか。
ア わが国の違憲審査制は、具体的な争訟事件を裁判する際に、その解決に必要な限度で適用法条の違憲審査を行う付随的審査制である。
イ 違憲審査権は憲法81条により最高裁判所に与えられた権限であるから、下級裁判所はこれを行使することができない。
ウ 警察予備隊訴訟において最高裁判所は、具体的事件を離れて法令の合憲性を抽象的に判断する権限を有しないとした。
エ 法令違憲の判決が確定した場合、当該法令は国会の廃止手続を経ることなく一般的に効力を失うとするのが通説である。
オ 違憲と判断された法令は当該事件についてその適用が排除されるにとどまるとする個別的効力説が通説である。
- A:ア・イ・ウ
- B:ア・ウ・エ
- C:ア・ウ・オ
- D:イ・ウ・オ
- E:ウ・エ・オ
【第3問:正解と解説】
正解:C
・A
【選択肢解説】
本肢はイを含む点で妥当でない。イ:違憲審査権は司法権の行使に付随するものとして下級裁判所も行使できる。81条は最高裁が「終審」であることを定めるにとどまる。
・B
【選択肢解説】
本肢はエを含む点で妥当でない。エ:一般的効力説の内容であり、通説は個別的効力説である。一般的効力を認めると裁判所に消極的立法作用を認めることになり41条との抵触が問題となる。
・C
【論点】
付随的審査制と違憲判決の効力
【考え方】
ア:付随的審査制の説明として妥当。
イ:下級裁判所も行使できるため妥当でない。
ウ:警察予備隊訴訟(最大判昭27.10.8)のとおり妥当。
エ:一般的効力説であり通説ではない。妥当でない。
オ:個別的効力説(通説)のとおり妥当。
【選択肢解説】
妥当なものはア・ウ・オであり、本肢が正解である。
・D
【選択肢解説】
本肢はイを含む点で妥当でない(ウ・オは妥当)。
・E
【選択肢解説】
本肢はエを含む点で妥当でない(ウ・オは妥当)。エとオは相互に矛盾する内容であり、両方を含む組合せはありえない点からも消去できる。
関連過去問:-
問4:裁判の公開に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例および憲法の規定に照らし、妥当なものはどれか。
- A:裁判の対審及び判決は公開法廷で行われるが、裁判官の全員一致で公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決した場合には、判決も非公開とすることができる。
- B:政治犯罪、出版に関する犯罪又は憲法第3章の国民の権利が問題となっている事件の対審は、常に公開しなければならない。
- C:傍聴人が法廷でメモを取る自由は、憲法82条1項によって直接保障されている。
- D:非訟事件の裁判は、公開法廷における対審及び判決によらなければ違憲である。
- E:裁判の公開の原則は、訴訟記録の公開までも要求するものである。
【第4問:正解と解説】
正解:B
・A
【選択肢解説】
妥当でない。非公開とできるのは「対審」のみであり、判決は常に公開しなければならない(82条2項本文の反対解釈)。
・B
【論点】対審の絶対的公開事件(82条2項ただし書)
【考え方】
対審は例外的に非公開にできるが、①政治犯罪、②出版に関する犯罪、③憲法第3章の権利が問題となっている事件の3類型については、対審も常に公開しなければならない。国家権力による秘密裁判の危険が特に大きい類型だからである。
【選択肢解説】
本肢は妥当である。
・C
【選択肢解説】
妥当でない。レペタ事件(最大判平1.3.8)は、メモを取る行為は21条1項の精神に照らし尊重に値するとしたが、82条は傍聴人に法廷でメモを取ることを権利として保障したものではないとした。
・D
【選択肢解説】
妥当でない。判例は、純然たる訴訟事件(権利義務の存否の確定)は公開・対審の保障が及ぶが、非訟事件(後見的な裁量処分)には82条の保障は及ばないとする。
・E
【選択肢解説】
妥当でない。82条の公開は対審・判決の公開を意味し、訴訟記録の公開までを直接要求するものではない(刑訴法・民訴法の閲覧制度は法律レベルの制度)。
関連過去問:R5,問4
