行政書士 憲法 応用編(1〜2問)|包括的人権・平等・社会権

問1:プライバシーに関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  • A:京都府学連事件判決は、警察官による個人の容ぼう等の撮影は、本人の同意か裁判官の令状がない限り許されないとした。
  • B:前科照会事件判決は、前科および犯罪経歴は公的機関の記録に基づく客観的情報であるから、これをみだりに公開されない利益は法的保護に値するものではないとした。
  • C:住基ネット事件判決は、憲法13条により個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由が保障されることを認めた上で、住基ネットによる本人確認情報の管理・利用はこの自由を侵害しないとした。
  • D:住基ネット事件判決は、住民票コードによる情報管理を、個人の私生活上の自由を侵害するものとして違憲とした。
  • E:ノンフィクション「逆転」事件判決は、いったん刑事事件で有罪判決を受けて服役した者の前科にかかる事実は、歴史的事実としていかなる場合も自由に公表できるとした。
【第1問:正解と解説】

正解:C

・A
【選択肢解説】
妥当でない。判例は同意・令状がない場合でも、現行犯的状況・証拠保全の必要性緊急性・相当な方法という要件の下で撮影が許されるとした。

・B
【選択肢解説】
妥当でない。前科等をみだりに公開されないことは法律上の保護に値する利益であるとし、漫然と照会に応じた行為を違法とした。結論が逆である。

・C
【論点】
プライバシー・自己情報コントロール(住基ネット事件・最判平20.3.6)

【考え方】
判例は13条を根拠に「個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由」を認めつつ、住基ネットの本人確認情報は氏名・住所等の秘匿性の高くない情報であり、システム上も具体的な漏えいの危険がないこと等から、同自由の侵害はないとした。

【選択肢解説】
本肢は「自由の承認+侵害の否定(合憲)」という判決の二段構造を正確に述べており、妥当である。

・D
【選択肢解説】
妥当でない。結論は合憲である。自由を認めた部分だけを根拠に違憲と結論づける肢に注意。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。同判決は前科にかかわる事実を公表されない法的利益を認め、公表する理由との比較衡量により、平穏な生活を送る者の実名使用を違法とした。

関連過去問:R3,問4


問2:法の下の平等に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  • A:尊属殺重罰規定違憲判決は、尊属に対する尊重報恩という立法目的自体は直ちに不合理とはいえないが、刑の加重の程度が極端であって目的達成の手段として著しく均衡を失するとして、憲法14条1項に違反するとした。
  • B:非嫡出子法定相続分違憲決定は、家族形態の多様化や国民意識の変化等を総合的に考慮し、嫡出でない子の相続分を2分の1とする区別の合理的根拠は遅くとも平成13年7月当時には失われていたとした。
  • C:再婚禁止期間違憲判決は、女性についてのみ6か月の再婚禁止期間を定める規定のうち、100日を超える部分を憲法14条1項・24条2項に違反するとした。
  • D:国籍法違憲判決は、日本人父から出生後に認知された非嫡出子について、父母の婚姻を届出による国籍取得の要件とする区別は、遅くとも国籍取得届が提出された平成15年当時には合理的関連性を欠き、憲法14条1項に違反していたとした。
  • E:夫婦同氏制を定める民法750条について判例は、氏の変更を強制されない自由は憲法上保障される人格権の一内容であるとして、同条を違憲とした。
【第2問:正解と解説】

正解:E

・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。目的は許容しつつ手段の過剰を理由とする判断構造まで正確に述べられている。

・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。時代の変化による合理的根拠の喪失という判断手法が特徴である。

・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。違憲は「100日を超える部分」に限られる。なお同規定は令和4年民法改正により廃止された。

・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。国籍法違憲判決は、日本国民である父から出生後に認知された子について、父母の婚姻による準正を届出による国籍取得の要件とする区別は、遅くとも上告人が国籍取得届を提出した平成15年当時には合理的関連性を欠き、憲法14条1項に違反していたとした。

・E
【論点】
夫婦同氏制の合憲性(最大判平27.12.16・最大決令3.6.23)

【考え方】
2015年大法廷判決は、氏名が人格権の一内容を構成することを認めつつ、現行法制度の下で、婚姻の際に氏の変更を強制されない自由が、憲法上保障される人格権の一内容であるとはいえないとした。その上で、夫婦同氏制を定める民法750条は、婚姻・家族制度に関する国会の合理的な立法裁量の範囲内であり、憲法14条1項および24条に違反しないとした。

2021年6月23日大法廷決定も、2015年大法廷判決後の社会の変化等を踏まえても、その判断を変更すべきものとは認められないとして、夫婦同氏制を合憲とした。

【選択肢解説】
本肢は、「氏の変更を強制されない自由」を憲法上保障される人格権の一内容とし、民法750条を違憲としたとしている点で、判例の判断と逆である。したがって妥当でなく、本問の正解である。

関連過去問:R1,問4/R6,問3


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