問3:適正手続の保障に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
- A:成田新法事件判決は、行政処分の相手方に事前の告知・弁解・防御の機会を与えるかどうかは、行政処分により制限を受ける権利利益の内容・性質、制限の程度、公益の内容・程度・緊急性等を総合較量して決定されるとした。
- B:憲法31条の定める法定手続の保障は、その沿革および文言に照らし、刑事手続のみに関するものであって、行政手続にこれが及ぶ余地は一切ないとするのが判例である。
- C:第三者の所有物を没収する場合であっても、その没収は被告人に対する附加刑であるから、当該第三者に告知・弁解・防御の機会を与えなくても、憲法31条・29条に違反しない。
- D:条例により刑罰を科すことは、法律の授権がいかに具体的であっても、憲法31条に違反する。
- E:憲法35条の令状主義は、行政手続である税務調査に適用される余地はない。
【第3問:正解と解説】
正解:A
・A
【論点】
成田新法事件(最大判平4.7.1)における行政手続と憲法31条
【考え方】
憲法31条の法定手続の保障は直接には刑事手続に関するものであるが、行政手続であるという理由だけで、当然に同条の保障の枠外となるわけではない。もっとも、行政手続は刑事手続とは性質が異なり、行政目的に応じて多種多様である。そのため、行政処分の相手方に事前の告知、弁解および防御の機会を与える必要があるかは、制限を受ける権利利益の内容・性質・制限の程度と、達成しようとする公益の内容・程度・緊急性などを総合較量して判断される。
【選択肢解説】
本肢は、成田新法事件が示した判断枠組みを正確に述べており、妥当である。
・B
【選択肢解説】
妥当でない。成田新法事件は、31条の保障が行政手続に「及ぶと解すべき場合がある」ことを認めた(そのうえで当該事案では事前手続なしでも合憲とした)。
・C
【選択肢解説】
妥当でない。第三者所有物没収事件(最大判昭37.11.28)は、告知・弁解・防御の機会なき没収を違憲とした。
・D
【選択肢解説】
妥当でない。判例(大阪市売春取締条例事件)は、相当な程度に具体的で限定された法律の授権があれば条例で罰則を定めることができるとする。
・E
【選択肢解説】
妥当でない。川崎民商事件判決は、憲法35条および38条の保障が、純然たる刑事手続以外の手続にも及び得ることを前提としている。もっとも、旧所得税法上の質問検査は、所得税の公平・確実な賦課徴収を目的とする行政手続であり、刑事責任追及を直接の目的とするものではないことなどから、憲法35条および38条1項に違反しないとされた。「行政手続に適用される余地はない」とする本肢は誤りである。
関連過去問:H28,問42(多肢)
問4:居住・移転の自由等(憲法22条)に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例および通説に照らし、妥当でないものはどれか。
- A:海外渡航の自由は、憲法22条2項の「外国に移住する自由」に含まれるとするのが判例である。
- B:居住・移転の自由は、沿革上は経済的自由に分類されるものの、身体の拘束を解く人身の自由としての性格や、広く知的な接触の機会を得るための精神的自由とも関連する複合的な性格を有すると解されている。
- C:国籍離脱の自由は憲法上保障されているが、無国籍になる自由までは保障されていないと解されている。
- D:旅券発給拒否事由を定める旅券法の規定(著しくかつ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者)は、漠然不明確であり違憲であるとされた。
- E:何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
【第4問:正解と解説】
正解:D
・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。帆足計事件(最大判昭33.9.10)のとおり。
・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。移動の自由は人の交流・情報獲得の基盤であり、複合的性格を持つとされる。
・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。22条2項は国籍離脱の自由を保障するが、無国籍の自由は含まないとするのが通説(国籍法も他国籍取得を離脱の要件とする)。
・D
【論点】帆足計事件における旅券法の合憲性
【考え方】
判例は、旅券法13条1項の発給拒否事由を「外国旅行の自由に対し公共の福祉のために合理的な制限を定めたもの」とし、漠然不明確とはいえず合憲とした。規定を違憲としたとする本肢は結論が逆である。
【選択肢解説】
本肢は妥当でない。よって本問の正解である。
・E
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。22条1項の文言のとおり。
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