問3:表現の自由に関する次のア〜オの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。
ア 事実の報道の自由は、国民の知る権利に奉仕するものとして、憲法21条の保障のもとにある。
イ 報道のための取材の自由も、報道の自由と全く同様に、憲法21条により保障されると明言されている。
ウ 集会の用に供される公共施設の利用は、人の生命・身体・財産が侵害され公共の安全が損なわれる明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見される場合に限り、拒否することができる。
エ 名誉毀損について、摘示した事実が真実であることの証明がない場合でも、真実と誤信したことに確実な資料・根拠に照らし相当の理由があるときは、名誉毀損罪は成立しない。
オ 傍聴人が法廷でメモを取る権利は、憲法21条1項により直接保障された権利であると明言されている。
- A:ア・イ・ウ
- B:ア・ウ・エ
- C:ア・エ・オ
- D:イ・ウ・オ
- E:ウ・エ・オ
【第3問:正解と解説】
正解:B
・A
【選択肢解説】
本肢はイを含む点で妥当でない。イ:取材の自由は「21条の精神に照らし十分尊重に値する」とされたのであり、報道の自由と「全く同様に保障」とはされていない(博多駅事件)。
・B
【論点】
表現の自由の判例横断(博多駅・泉佐野・夕刊和歌山・レペタ)
【考え方】
ア:博多駅事件の判旨のとおり妥当。
イ:「保障」と「尊重に値する」の使い分けに反し妥当でない。
ウ:泉佐野市民会館事件の基準のとおり妥当。
エ:夕刊和歌山時事事件の判旨のとおり妥当。
オ:レペタ事件は筆記行為の自由を「21条1項の精神に照らし尊重されるべき」としたにとどまり、権利として直接保障したとは明言していない。妥当でない。
【選択肢解説】
妥当なものはア・ウ・エであり、本肢が正解である。
・C
【選択肢解説】
本肢はオを含む点で妥当でない。オ:レペタ事件の判示は「尊重されるべき」であり「権利として直接保障」ではない。判例の言い回しの強弱が問われている。
・D
【選択肢解説】
本肢はイ・オを含む点で妥当でない。いずれも「保障」と「尊重(に値する)」の使い分けを崩した肢である。
・E
【選択肢解説】
本肢はオを含む点で妥当でない(ウ・エは妥当)。
関連過去問:R7,問4
問4:信教の自由に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
- A:精神障害者の平癒祈願のための加持祈祷が、その者を死に至らしめた場合であっても、宗教行為である以上、処罰することは信教の自由を侵害し許されない。
- B:宗教上の人格権としての静謐な宗教的環境の下で信仰生活を送るべき利益は、法的利益として広く保護される。
- C:宗教法人に対する解散命令は、信者の宗教上の行為の継続に支障を生じさせるため、いかなる場合も許されない。
- D:市立高等専門学校の校長が、宗教上の理由により剣道実技に参加できない学生に対し、代替措置について何ら検討することなく原級留置・退学処分をしたことは、裁量権の範囲を超え違法である。
- E:宗教上の理由により剣道実技に参加できない学生に代替措置を講ずることは、特定の宗教を援助する宗教的活動に当たり、政教分離原則に反するため許されない。
【第4問:正解と解説】
正解:D
・A
【選択肢解説】
妥当でない。加持祈祷事件(最大判昭38.5.15)は、他人の生命・身体に危害を及ぼす行為は信教の自由の保障の限界を逸脱するとして処罰を合憲とした。
・B
【選択肢解説】
妥当でない。自衛官合祀事件(最大判昭63.6.1)は、静謐な宗教的環境の下で信仰生活を送るべき利益を法的利益として認めることはできないとした。
・C
【選択肢解説】
妥当でない。オウム真理教解散命令事件(最決平8.1.30)は、解散命令は専ら世俗的目的によるものであり、信者の宗教上の行為への支障は間接的・事実上のものにとどまるとして合憲とした。
・D
【論点】エホバの証人剣道実技拒否事件(最判平8.3.8)
【考え方】
信仰上の真摯な理由による履修拒否に対し、代替措置の検討を全くせずにされた原級留置・退学処分は、考慮すべき事項を考慮しない裁量権の逸脱として違法とされた。代替措置を採ることが政教分離に反するともいえないとした点も重要。
【選択肢解説】
本肢は妥当である。
・E
【選択肢解説】
妥当でない。エホバの証人剣道実技拒否事件判決は、宗教上の真摯な理由により剣道実技を履修できない学生に代替措置を講ずることが、憲法20条3項の禁止する宗教的活動に当たるとはいえないとした。代替措置が不可能ではないにもかかわらず、これを何ら検討せずにした原級留置・退学処分は、考慮すべき事項を考慮しておらず、裁量権の範囲を超える違法な処分とされた。
関連過去問:H21,問5
