問3:債務不履行による損害賠償に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
- A:債務の履行が契約の成立時に既に不能であった場合には、その契約は無効であるから、債権者は履行不能による損害賠償を請求することができない。
- B:特別の事情によって生じた損害については、債務者がその事情を現に予見していた場合に限り、債権者は賠償を請求することができる。
- C:金銭債務の不履行については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができる。
- D:債務の不履行に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。
- E:債務者が任意に債務を履行しない場合、債権者は、原則として裁判所に対して直接強制・代替執行等の方法による履行の強制を求めることができず、損害賠償の請求のみをなしうる。
【第3問:正解と解説】
正解:D
・A
【選択肢解説】
妥当でない。原始的不能の場合でも契約は無効とならず、415条による損害賠償請求が可能である(412条の2第2項・2020年改正で明文化)。
・B
【選択肢解説】
妥当でない。特別損害の賠償は、当事者(債務者)がその事情を「予見すべきであった」ときに認められる(416条2項)。現実に予見していた場合に限られるわけではなく、規範的に判断される。改正で「予見し、又は予見することができた」から「予見すべきであった」に文言が改められた。
・C
【選択肢解説】
妥当でない。金銭債務の特則により、債務者は不可抗力をもって抗弁とすることができない(419条3項)。
・D
【論点】債務不履行における過失相殺(418条)
【考え方】
債務不履行又はこれによる損害の発生・拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所はこれを考慮して損害賠償の責任及びその額を「定める」(必要的考慮)。不法行為の過失相殺(722条2項・額のみ・任意的)との対比が最重要である。
【選択肢解説】
本肢は418条のとおりであり、妥当である。
・E
【選択肢解説】
妥当でない。債権者は民事執行法等の定めに従い、直接強制・代替執行・間接強制その他の方法による履行の強制を裁判所に請求できる(414条1項)。強制履行と損害賠償は併存しうる。
関連過去問:H28,問33
問4:保証に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、妥当でないものはどれか。
- A:連帯保証人が数人ある場合、各連帯保証人は、債権者に対し、主たる債務の額を保証人の頭数で除した額についてのみ保証債務を負う。
- B:主たる債務者に生じた事由の効力は原則として保証人に及び、主たる債務者に対する履行の請求による時効の完成猶予は、保証人に対しても効力を生ずる。
- C:保証契約は、書面又は電磁的記録でしなければ、その効力を生じない。
- D:個人根保証契約は、極度額を定めなければ、その効力を生じない。
- E:事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約の委託を受けた個人の保証人になろうとする者に対し、主たる債務者は、自己の財産及び収支の状況等に関する情報を提供しなければならない。
【第4問:正解と解説】
正解:A
・A
【論点】連帯保証と分別の利益
【考え方】
通常の共同保証では各保証人は分別の利益を有し頭割りの額のみ保証するが、連帯保証人には分別の利益がなく、各自が主たる債務の全額について保証債務を負う。「催告・検索の抗弁なし+分別の利益なし」が連帯保証の二大特徴である。
【選択肢解説】
本肢は連帯保証人に分別の利益を認めており妥当でない。よって本問の正解である。
・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。保証債務の付従性(457条1項)である。主債務者への裁判上の請求等による時効の完成猶予・更新は保証人にも及ぶ。
・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。446条2項・3項のとおり。
・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。465条の2第2項のとおり。極度額の定めは書面でしなければならない。
・E
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。主債務者の情報提供義務(465条の10)である。違反により保証人が誤認して契約した場合、債権者が悪意・有過失であれば保証人は取り消しうる。
関連過去問:R6,問31
