問1:A・B・Cの3人は、Dに対して300万円の連帯債務を負っている(負担部分は平等)。次の記述のうち、民法の規定に照らし、妥当なものはどれか。
- A:DがAに対して裁判上の請求をした場合、B・Cとの関係でも時効の完成猶予の効力が生じる。
- B:DがAの債務を免除した場合、B・Cは100万円ずつの分割債務を負うことになる。
- C:AがDに対して有する300万円の債権で相殺した場合、B・Cの債務も消滅する。
- D:AとDの間に相続による混同が生じた場合でも、B・Cの債務には何の影響もない。
- E:Aが90万円を弁済した場合、Aの弁済額は自己の負担部分(100万円)を超えないため、AはB・Cに求償することができない。
【第1問:正解と解説】
正解:C
・A
【選択肢解説】
妥当でない。履行の請求は相対的効力事由であり(441条)、Aへの請求はB・Cに効力を及ぼさない。
・B
【選択肢解説】
妥当でない。免除も相対的効力事由であり、B・Cは依然300万円全額の連帯債務を負う(負担部分は求償の場面で調整される)。
・C
【論点】連帯債務における相殺の絶対効
【考え方】
相殺は弁済と同様に債権を現実に満足させる事由であるため、改正後も絶対的効力事由とされる(439条1項)。改正後の絶対効は「弁済等・更改・相殺・混同」に限られる。
【選択肢解説】
本肢のとおりB・Cの債務も消滅し、妥当である。AはB・Cに各100万円を求償できる。
・D
【選択肢解説】
妥当でない。混同は絶対的効力事由であり(440条)、Aは弁済をしたものとみなされ、B・Cへの求償の問題となる。
・E
【選択肢解説】
妥当でない。改正法の明文により、弁済額が自己の負担部分を超えなくても、各自の負担部分の割合に応じた求償が可能である(442条1項)。AはB・Cに各30万円を求償できる。
関連過去問:R5,問30
問2:債権譲渡および相殺に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
- A:債権が二重に譲渡され、それぞれ確定日付のある証書による通知がされた場合、譲受人相互間の優劣は、通知が債務者に到達した日時の先後によって定まる。
- B:譲渡制限の意思表示がされた債権が譲渡された場合、その譲渡は有効であるが、債務者は、その意思表示について悪意又は重過失の譲受人に対しては、債務の履行を拒むことができる。
- C:将来発生すべき債権も、譲渡することができる。
- D:差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え前に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。
- E:人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権を有する被害者は、加害者に対して負う金銭債務と当該損害賠償請求権とを相殺することができない。
【第2問:正解と解説】
正解:E
・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。到達時説(最判昭49.3.7)である。確定日付の先後ではない。
・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。466条2項・3項の改正後の規律である。
・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。将来債権譲渡は466条の6で明文化されている。
・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。511条1項(無制限説の明文化)である。
・E
【論点】509条の相殺禁止の方向
【考え方】
509条が禁止するのは、生命・身体侵害の損害賠償「債務の債務者」(=加害者側)からの相殺である。被害者の側からこれらの債権を自働債権として相殺することは禁止されていない。被害者に現実の弁済を受けさせる趣旨だからである。
【選択肢解説】
本肢は被害者側からの相殺を禁止するかのように述べており妥当でない。よって本問の正解である。相殺の「方向」で正誤が決まる応用論点。
関連過去問:R5,問31
