行政書士 民法 応用編(5〜6問)|総則

問5:代理に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  • A:代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は無権代理行為とみなされる。
  • B:代理人が、同一の法律行為について、自らを相手方として本人を代理すること(自己契約)は、本人の許諾があっても常に無効である。
  • C:委任による代理人は、いかなる場合も復代理人を選任することができない。
  • D:復代理人を選任した代理人の代理権が消滅しても、復代理人の代理権は消滅しない。
  • E:代理権を有しない者がした契約の相手方は、本人が追認した後であっても、当該契約を取り消すことができる。
【第5問:正解と解説】

正解:A

・A
【論点】代理権の濫用(107条・2020年改正で明文化)

【考え方】
代理権の範囲内の行為であっても、代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で行い、相手方がその目的を知り又は知ることができたときは、無権代理行為とみなされる。旧法下の93条ただし書類推適用の判例法理を明文化したものである。

【選択肢解説】
本肢は107条のとおりであり、妥当である。

・B
【選択肢解説】
妥当でない。代理人が自らを相手方として本人を代理する行為を自己契約といい、同一人が当事者双方の代理人となる行為を双方代理という。自己契約および双方代理は、原則として代理権を有しない者がした行為とみなされるが、債務の履行および本人があらかじめ許諾した行為については例外として許される(108条1項ただし書)。したがって、「本人の許諾があっても常に無効」とする本肢は妥当でない。

・C
【選択肢解説】
妥当でない。委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときは、復代理人を選任することができる(104条)。

・D
【選択肢解説】
妥当でない。復代理人の代理権は代理人の代理権を基礎とするため、代理人の代理権が消滅すれば復代理人の代理権も消滅する。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。相手方の取消権は「本人が追認をしない間」に限り行使できる(115条)。追認により契約は確定的に有効となり、取消しの余地はなくなる。

関連過去問:-


問6:意思表示に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  • A:表意者が真意ではないことを知ってした意思表示は、原則として有効であるが、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、無効となる。
  • B:心裡留保による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
  • C:不動産の所有者が、他人に登記名義を移すことを承認していた場合など、虚偽の外観の作出に所有者の帰責性が認められるときは、民法94条2項の類推適用により、善意の第三者が保護されることがある。
  • D:公序良俗に反する法律行為は、取り消すことができる行為であり、取り消されるまでは有効である。
  • E:詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
【第6問:正解と解説】

正解:D

・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。心裡留保(93条1項)のとおり。

・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。93条2項(2020年改正で新設)のとおり。

・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。94条2項類推適用の判例法理である。真の権利者の帰責性(外観の作出・承認)と第三者の信頼を要件に、権利外観法理による保護が図られる。

・D
【論点】公序良俗違反の効果(90条)

【考え方】
公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は「無効」である。取消しではないため、追認によって有効となる余地はなく、期間制限もなく、誰からでも無効を主張できる。

【選択肢解説】
本肢は取り消しうる行為としており妥当でない。よって本問の正解である。「90条=無効/詐欺・強迫=取消し」の効果の区別は基本にして頻出。

・E
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。96条3項のとおり(改正で無過失が明文化された)。

関連過去問:-


タイトルとURLをコピーしました