行政書士 民法 応用編(3〜4問)|総則

問3:制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  • A:未成年者が法定代理人の同意を得ずにした売買契約は、当然に無効である。
  • B:成年被後見人がした法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為であっても、取り消すことができる。
  • C:被保佐人が保佐人の同意を得ずに不動産を売却した場合、その行為を取り消すことができる。
  • D:制限行為能力者の相手方は、1か月以上の期間を定めて、制限行為能力者本人(未成年者)に対して催告をすることができ、確答がないときは追認したものとみなされる。
  • E:制限行為能力者が「行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いた」といえるためには、積極的な術策が必要であり、単に制限行為能力者であることを黙秘していた場合は、他の言動と相まって相手方を誤信させたときであっても、詐術にあたることはない。
【第3問:正解と解説】

正解:C

・A
【選択肢解説】
妥当でない。同意を得ない未成年者の行為は「取り消すことができる」のであり(5条2項)、当然に無効となるわけではない。取り消されるまでは有効である。

・B
【選択肢解説】
妥当でない。日用品の購入その他日常生活に関する行為は、成年被後見人でも取り消すことができない(9条ただし書)。本人の自己決定の尊重とノーマライゼーションの趣旨。

・C
【論点】被保佐人の同意を要する行為(13条1項)

【考え方】
不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為は、保佐人の同意を要する行為として列挙されており(13条1項3号)、同意(又はこれに代わる家庭裁判所の許可)なくされた行為は取り消すことができる(同4項)。

【選択肢解説】
本肢は妥当である。

・D
【選択肢解説】
妥当でない。民法20条1項により、制限行為能力者本人に催告し、期間内に確答がなければ追認したものとみなされるのは、その制限行為能力者が行為能力者となった後である。行為能力者となる前は、その権限内の行為について法定代理人、保佐人又は補助人に催告するのが原則であり、期間内に確答がなければ追認したものとみなされる(同条2項)。未成年者本人に催告しても、同条1項による沈黙の追認擬制は生じない。なお、被保佐人又は同意権付与の審判を受けた被補助人に対しては、保佐人又は補助人の追認を得るよう催告することができ、期間内に追認を得た旨の通知がなければ取り消したものとみなされる(同条4項)。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。判例(最判昭44.2.13)は、黙秘も他の言動などと相まって相手方を誤信させ、又は誤信を強めたと認められるときは詐術にあたるとする。「黙秘は常に詐術にあたらない」わけではない。

関連過去問:-


問4:消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  • A:債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、又は権利を行使することができる時から10年間行使しないときは、時効によって消滅する。
  • B:催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間は、時効は完成しないが、催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告には、完成猶予の効力がない。
  • C:権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、一定の期間、時効の完成が猶予される。
  • D:時効の利益は、時効完成前であっても、あらかじめ放棄することができる。
  • E:時効完成後に債務者が債務を承認した場合、債務者が時効完成の事実を知らなかったときでも、信義則上、その後に時効を援用することは許されない。
【第4問:正解と解説】

正解:D

・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。166条1項の二重期間構成(主観5年・客観10年)である。

・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。150条のとおり。催告による時間稼ぎは一度しか使えない。

・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。協議を行う旨の合意による完成猶予(151条・2020年改正で新設)である。書面(電磁的記録を含む)が要件。

・D
【論点】時効利益の事前放棄の禁止(146条)

【考え方】
時効の利益は、あらかじめ(時効完成前に)放棄することができない。債権者が優越的地位を利用して債務者に時効利益の放棄を強いることを防ぐ趣旨である。時効完成後の放棄は自由にできる。

【選択肢解説】
本肢は事前放棄を可能としており妥当でない。よって本問の正解である。

・E
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。最大判昭41.4.20のとおり。時効完成を知らずにした承認でも、相手方の信頼保護の見地から、その後の援用は信義則上許されない。

関連過去問:R5,問27


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