問3:相続分および遺産分割に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
- A:被相続人の子が相続開始以前に死亡していた場合、その者の子(被相続人の孫)が代襲して相続人となるが、孫も死亡していたときは、曾孫が再代襲することはできない。
- B:父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分と同等である。
- C:遺産の分割は、相続開始の時に遡ってその効力を生ずるが、遺産分割前に共同相続人の一人から遺産に属する不動産の持分を譲り受けた第三者の権利を害することはできない。
- D:共同相続人の一人が遺産分割により法定相続分を超える不動産の権利を取得した場合、登記を備えなくても、その超える部分の取得を第三者に対抗することができる。
- E:被相続人は、遺言によっても、5年を超えない期間を定めて遺産の分割を禁ずることはできない。
【第3問:正解と解説】
正解:C
・A
【選択肢解説】
妥当でない。子の系統では直系卑属である限り再代襲・再々代襲が認められる(887条3項)。再代襲がないのは兄弟姉妹の代襲(甥姪まで)である。系統の入れ替えに注意。
・B
【選択肢解説】
妥当でない。父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(半血)の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹(全血)の相続分の2分の1である(900条4号ただし書)。同等ではない。
・C
【論点】遺産分割の遡及効と第三者(909条)
【考え方】
遺産分割には相続開始時への遡及効があるが、分割前に共同相続人から持分を譲り受けた第三者の権利を害することはできない(909条ただし書)。この第三者は権利保護要件として登記を要すると解されている。
【選択肢解説】
本肢は909条のとおりであり、妥当である。
・D
【選択肢解説】
妥当でない。相続による権利の承継は、法定相続分を超える部分については、登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗できない(899条の2・平成30年改正で新設)。
・E
【選択肢解説】
妥当でない。被相続人は、遺言で、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて遺産の分割を禁ずることができる(908条1項)。
関連過去問:R6,問35
問4:配偶者居住権等に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、妥当でないものはどれか。
- A:配偶者居住権は、遺産の分割によるほか、遺贈によっても取得させることができる。
- B:配偶者居住権の存続期間は、別段の定めがない限り、配偶者の終身の間である。
- C:配偶者居住権は、登記をしなければ、居住建物の所有権を取得した第三者に対抗することができない。
- D:配偶者は、配偶者居住権を第三者に譲渡することができる。
- E:居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産分割をすべき場合、配偶者短期居住権は、遺産分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から6か月を経過する日のいずれか遅い日まで存続する。
【第4問:正解と解説】
正解:D
・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。1028条1項のとおり(遺産分割・遺贈。死因贈与も可)。
・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。1030条のとおり。
・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。1031条のとおり。居住建物の所有者は配偶者に登記を備えさせる義務を負う。
・D
【論点】配偶者居住権の譲渡禁止(1032条2項)
【考え方】
配偶者居住権は、残された配偶者自身の居住を保護するための一身専属的な権利であり、譲渡することができない。第三者に建物を使用収益させるには所有者の承諾が必要である(同3項)。
【選択肢解説】
本肢は譲渡を可能としており妥当でない。よって本問の正解である。
・E
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産分割をすべき場合、配偶者短期居住権は、遺産分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から6か月を経過する日のいずれか遅い日まで存続する(1037条1項1号)。これに対し、それ以外の場合には、居住建物取得者が配偶者短期居住権の消滅を申し入れた日から6か月を経過する日まで存続する(同項2号・同条3項)。
関連過去問:-
