行政書士 憲法 初級編(4〜6問)|経済的自由・人身の自由

重要度:A 論点:補償規定を欠く法令

問4:財産権を制限する法令に損失補償の規定がない場合に関する判例の立場として適切なものはどれか。

  • A:財産権制限の根拠法令に補償規定が置かれていない場合、その法令は憲法29条3項に反し当然に違憲無効となる
  • B:補償規定がなくても、憲法29条3項を直接の根拠として補償を請求する余地があるため、法令が直ちに違憲無効となるわけではない
  • C:補償規定がない以上、憲法29条3項を直接の根拠とすることもできず、いかなる方法によっても補償を受けることはできない
【第4問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:不適切。判例(河川附近地制限令事件)は補償規定の欠如が直ちに法令を違憲無効にするものではないとした。
・B:適切。29条3項に基づく直接請求の可能性を認めることで法令の効力を維持する構成である。【試験対策】「直接請求の余地」→「だから法令は違憲にならない」という論理の流れで理解する。結論だけでなく理由づけが問われる。
・C:不適切。29条3項を直接の根拠とする補償請求の余地が認められている。

関連過去問:-


重要度:A 論点:財産権の判例

問5:財産権に関する判例の説明として適切なものはどれか。

  • A:森林法共有林分割制限事件は、共有森林の分割請求権の制限を立法目的との関係で合理性・必要性を欠くとして違憲とした
  • B:奈良県ため池条例事件は、条例による財産権規制は憲法29条2項の「法律」に反するため許されないとした
  • C:財産権の内容の規制はすべて明白性の原則で審査され、違憲とされた例はない
【第5問:正解と解説】

正解:A
【解説】
・A:適切。森林法事件は財産権規制に関する数少ない法令違憲判決である。【試験対策】経済的自由で違憲とされた判例は「薬事法」「森林法」の2つが軸。違憲判決は数が少ないので網羅的に覚えるのが効率的。
・B:不適切。奈良県ため池条例事件は、条例による財産権規制が一律に許されないとしたものではない。同判決は、ため池の破損・決壊の原因となる堤とうの使用行為は、憲法および民法が保障する適法な財産権の行使の範囲外にあり、その行為を条例で禁止・処罰しても憲法および法律に抵触しないと判断した。ただし、憲法29条2項の「法律」に条例が含まれるかについて、正面から判断したものではない。
・C:不適切。森林法事件という法令違憲の例がある。「すべて」「一度もない」という全称表現の肢は誤りであることが多い。

関連過去問:H29,問4


重要度:A 論点:行政手続への適用(成田新法・川崎民商)

問6:憲法31条・35条・38条と行政手続の関係に関する判例の説明として適切なものはどれか。

  • A:成田新法事件は、憲法31条の定める法定手続の保障は刑事手続に限られ、行政手続には一切及ばないと明言した
  • B:判例は、31条・35条・38条の保障が行政手続にも及びうることを認めつつ、行政手続の多種多様性から、常に刑事手続と同様の保障が要求されるわけではないとしている
  • C:川崎民商事件は、所得税の過少申告に関する税務調査のための質問検査にも35条・38条の保障が全面的に及ぶため、常に裁判官の発する令状が必要であるとした
【第6問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:不適切。成田新法事件は31条の保障が行政手続に「及ぶと解すべき場合がある」ことを認めた。「一切及ばない」は誤り。
・B:適切。「及びうる・ただし常に同様の保障は不要」という二段構えが両判例に共通する枠組みである。【試験対策】この2判例は行政手続法・行政調査の分野でそのまま再出題される。憲法と行政法をまたぐ最重要判例群。
・C:不適切。川崎民商事件は、旧所得税法上の質問検査は刑事責任追及を目的とせず強制の態様も間接的であることから、令状なしでも違憲でないとした。

関連過去問:H28,問42(多肢)


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