行政書士 憲法 初級編(4〜6問)|憲法総論・人権総論

重要度:A 論点:私人間効力

問4:憲法の人権規定の私人間効力に関する判例の立場として適切なものはどれか。

  • A:三菱樹脂事件は、憲法19条・14条を私人間に直接適用し、思想を理由とする本採用拒否を違憲と判断した
  • B:日産自動車事件は、男女別定年制を憲法14条により直接無効とした
  • C:判例は、人権規定は私人間に直接適用されず、民法90条等の私法の一般条項を通じて間接的にその趣旨を及ぼすという立場(間接適用説)に立つ
【第4問:正解と解説】

正解:C
【解説】
・A:不適切。三菱樹脂事件は憲法19条・14条の私人間への直接適用を否定し、企業の契約締結の自由を認めて本採用拒否を当然に違法とはいえないとした。結論の方向も逆である。
・B:不適切。日産自動車事件が男女別定年制を無効としたのは民法90条(公序良俗)によってであり、憲法14条の直接適用によるものではない。
・C:適切。両事件はいずれも間接適用説の枠組みで理解される。【試験対策】『どの条文で無効としたか』が最大のひっかけどころ。日産事件=民法90条、と根拠条文まで正確に覚える。

関連過去問:H25,問4


重要度:A 論点:公務員の政治活動(猿払事件と堀越事件)

問5:公務員の政治活動の自由に関する判例の説明として適切なものはどれか。

  • A:堀越事件は、表現の自由の優越的地位を強調して猿払事件の判例を正面から変更し、公務員の政治的行為の禁止を定める国家公務員法・人事院規則の規定自体を違憲無効とした
  • B:堀越事件は、禁止される「政治的行為」を職務遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められる行為に限定解釈し、管理職的地位にない公務員の勤務外の配布行為を無罪とした
  • C:猿払事件は、勤務時間外の政治的行為にまで及ぶ一律禁止について、規制目的が不当であり手段も過度に広範であるとして違憲と判断した
【第5問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:不適切。堀越事件は法令自体を違憲とはしておらず、猿払事件の判例も変更していない。限定解釈による無罪という手法がポイントである。
・B:適切。「おそれが実質的に認められる」かどうかで線引きし、被告人の行為はこれにあたらないとした。【試験対策】猿払(合憲・有罪)と堀越(限定解釈・無罪)は結論と理由をセットで対比。『判例変更した』という肢は誤り。
・C:不適切。猿払事件は行政の中立的運営とこれに対する国民の信頼確保という規制目的を正当とし、合憲・有罪の判断をした。

関連過去問:H30,問41(多肢)


重要度:A 論点:憲法改正手続

問6:憲法96条の定める憲法改正手続として適切なものはどれか。

  • A:各議院の出席議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、国民投票で賛成票が賛成票と反対票の合計数の2分の1を超える
  • B:各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、国民投票で賛成票が賛成票と反対票の合計数の2分の1を超える
  • C:各議院の総議員の過半数の賛成で国会が発議し、国民投票で3分の2以上の賛成を得る
【第6問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:不適切。憲法改正の発議に必要なのは、各議院の「出席議員」ではなく「総議員」の3分の2以上の賛成である。国民投票では、賛成票が賛成票と反対票の合計数の2分の1を超えることが必要となる。
・B:適切。憲法96条により、憲法改正案の発議には、衆議院・参議院それぞれの総議員の3分の2以上の賛成が必要である。国民投票では、憲法改正案に対する賛成票が、賛成票と反対票の合計数の2分の1を超えた場合に承認される。【試験対策】発議の母数は「出席議員」ではなく「総議員」であり、国民投票は賛否の投票数を基準に判断する。
・C:不適切。国会による発議には各議院の総議員の3分の2以上の賛成が必要であり、総議員の過半数では足りない。また、国民投票で3分の2以上の賛成が必要とされているわけではない。

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