行政書士 憲法 応用編(1〜2問)|統治・内閣

問1:内閣および内閣総理大臣に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  • A:内閣総理大臣が国務大臣を罷免するにあたっては、内閣の首長としての地位に基づく権限であるとはいえ、合議体の一体性を保つため、閣議にかけてその決定を経なければならないとされている。
  • B:国務大臣は、すべて国会議員の中から任命されなければならない。
  • C:内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針が存在しない場合であっても、内閣の明示の意思に反しない限り、行政各部に対し指導・助言等の指示を与える権限を有するとするのが判例である。
  • D:国務大臣は、その在任中、国会の同意がなければ訴追されない。
  • E:政令には、個別具体的な法律の委任がある場合であっても、罰則を設けることは憲法73条6号但書により許されない。
【第1問:正解と解説】

正解:C

・A
【選択肢解説】
妥当でない。国務大臣の罷免は内閣総理大臣が任意に行える専権であり(68条2項)、閣議決定は不要である。

・B
【選択肢解説】
妥当でない。国会議員の中から選ばれることを要するのは国務大臣の「過半数」であり(68条1項)、全員ではない。

・C
【論点】
内閣総理大臣の行政各部に対する指示権限(ロッキード事件丸紅ルート判決・最大判平7.2.22)

【考え方】
内閣法6条は「閣議にかけて決定した方針に基いて」の指揮監督を定めるが、判例は、方針が存在しない場合でも、首相の地位・権限(66条・72条)に照らし、流動的で多様な行政需要に遅滞なく対応するため、内閣の明示の意思に反しない限り指導・助言等の指示を与える権限を認めた。

【選択肢解説】
本肢は判例の内容を正確に述べており、妥当である。

・D
【選択肢解説】
妥当でない。国務大臣の訴追に同意を与えるのは「内閣総理大臣」であり(75条)、国会ではない。主体のすり替えである。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。政令には「特にその法律の委任がある場合」には罰則を設けることができる(73条6号ただし書)。委任があってもなお不可、とする点が誤り。

関連過去問:H21,問41(多肢)/H29,問5


問2:内閣の総辞職および衆議院の解散に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

  • A:苫米地事件において最高裁判所は、憲法69条によらない衆議院の解散も憲法上有効である旨を正面から判示し、いわゆる7条解散を合憲と明言した。
  • B:内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は総辞職をしなければならない。
  • C:総辞職をした内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う。
  • D:実務上、衆議院の解散は憲法69条の場合に限られず、天皇の国事行為に対する内閣の助言と承認(7条)を根拠として行われている。
  • E:衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、内閣は、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
【第2問:正解と解説】

正解:A

・A
【論点】
苫米地事件(最大判昭35.6.8)と統治行為論

【考え方】
同判決は、衆議院の解散は直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為であり、法律上の争訟として有効無効の判断が法律上可能であっても司法審査の対象外であるとした。つまり合憲とも違憲とも判断していない。

【選択肢解説】
本肢は「合憲と明言した」としており妥当でない。よって本問の正解である。「実務が7条解散を行っている」ことと「判例が合憲と判断した」ことの違いを突く、応用編ならではの肢である。

・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。70条の定める2つの総辞職事由である。

・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。71条のとおりであり、行政の空白を防ぐ趣旨である。

・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。7条説に基づく実務の運用である。

・E
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。69条の内容である。「解散か総辞職か」の選択権が内閣にある構造を正確に。

関連過去問:H27,問6/R2,問6


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