行政書士 民法 初級編(4〜6問)|債権各論(法定債権)

重要度:A 論点:監督義務者の責任

問4:責任能力のない子どもの加害行為と親の責任に関する判例の説明として適切なものはどれか。

  • A:JR東海事件判決は、認知症高齢者の同居の配偶者は当然に法定の監督義務者にあたるとして責任を認めた
  • B:監督義務者の責任は無過失責任であり、監督義務を怠らなかったことを立証しても免責されない
  • C:サッカーボール事件判決は、通常は人身に危険が及ばない行為によって偶発的に損害が生じた場合について、親権者の監督義務違反を否定した
【第4問:正解と解説】

正解:C
【解説】
・A:不適切。JR東海事件は、同居の配偶者であることから当然に監督義務者にあたるとはいえず、諸般の事情の総合考慮によるとし、当該事案では責任を否定した。
・B:不適切。714条は監督義務を怠らなかったこと等の立証による免責を認める中間責任である。
・C:適切。校庭でのフリーキック練習という通常は危険のない行為につき、具体的な予見可能性がない限り監督義務違反はないとした(最判平27.4.9)。【試験対策】714条は中間責任だが免責は容易に認められてこなかったところ、近時の2判例が免責・責任否定の方向を示した流れで理解する。

関連過去問:R4,問34


重要度:A 論点:不法原因給付

問5:AはBに対し、賭博の資金として金銭を交付した(不法原因給付にあたるとする)。この場合に関する記述として適切なものはどれか。

  • A:Aは不当利得を理由として金銭の返還を請求することはできないが、所有権に基づく返還請求は可能である
  • B:Aは不当利得に基づく返還請求も所有権に基づく返還請求もできず、給付した金銭の所有権は反射的にBに帰属する
  • C:不法の原因が専らBにある場合でも、Aは返還を請求することができない
【第5問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:不適切。所有権に基づく返還請求を認めると708条が骨抜きになるため、判例はこれも否定する。
・B:適切。返還請求できない反射的効果として所有権は受益者に帰属する(最大判昭45.10.21)。【試験対策】「不当利得×・物権的請求×・所有権は相手に帰属」の3点セット。既登記不動産は登記の移転まで必要という「給付」の意義も併せて。
・C:不適切。不法の原因が受益者についてのみ存するときは返還請求できる(708条ただし書)。

関連過去問:R7,問34


重要度:A 論点:過失相殺

問6:不法行為における過失相殺に関する記述として適切なものはどれか。

  • A:被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して損害賠償の額を定めることができる
  • B:被害者に過失があったときは、裁判所は、必ず損害賠償の額を減額しなければならない
  • C:被害者側の過失として考慮できるのは、被害者本人の過失に限られ、被害者と身分上・生活関係上一体をなす者の過失は考慮できない
【第6問:正解と解説】

正解:A
【解説】
・A:適切。722条2項(任意的考慮・額のみ)である。【試験対策】債務不履行の418条(必要的考慮・責任及び額)との対比が最頻出。「不法行為=『できる』・額のみ/債務不履行=『定める』・責任も」。
・B:不適切。「考慮することができる」のであり、必要的減額ではない。
・C:不適切。判例は「被害者側の過失」として、被害者と身分上・生活関係上一体をなす者(同居の親など。保育士は含まれない)の過失の考慮を認める。

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