行政書士 民法 応用編(3〜4問)|物権

問3:共有に関する次の記述のうち、民法の規定(令和3年改正を含む)および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  • A:共有物を使用する共有者がいる場合であっても、共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決することができる。
  • B:共有物に形状又は効用の著しい変更を伴わない変更(軽微変更)を加えるには、共有者全員の同意が必要である。
  • C:共有者の一部が共有物を単独で占有している場合、他の共有者は、持分の過半数を有していれば、当然にその共有者に対して共有物の明渡しを請求することができる。
  • D:共有物の分割について共有者間に協議が調わない場合であっても、裁判所に分割を請求することはできない。
  • E:各共有者は、共有物の不法占拠者に対し、自己の持分の割合を超えて、損害全額の賠償を請求することができる。
【第3問:正解と解説】

正解:A

・A
【論点】共有物の管理(252条・令和3年改正)

【考え方】
管理に関する事項は持分価格の過半数で決する。改正により、共有物を使用する共有者がいる場合でも過半数で管理事項を決定できることが明文化された(252条1項後段。ただし特別の影響を及ぼすときは使用者の承諾が必要・同3項)。

【選択肢解説】
本肢は妥当である。

・B
【選択肢解説】
妥当でない。令和3年改正により、軽微変更は持分価格の過半数で決することができるものとされた(251条1項かっこ書・252条1項)。全員の同意を要するのは著しい変更である。

・C
【選択肢解説】
妥当でない。共有者の一人は自己の持分に基づく占有権原を有するため、他の共有者が持分価格の過半数を有するというだけで、当然にその共有者へ明渡しを請求できるわけではない(最判昭41.5.19)。もっとも、現行民法252条1項後段により、共有物を使用する共有者がいる場合でも、共有物の管理に関する事項は持分価格の過半数で決定できる。そのため、適法な管理決定によって他の共有者を使用者と定めた場合には、その決定に基づく明渡し請求が認められ得る。ただし、共有者間の決定に基づいて使用する共有者に特別の影響を及ぼすべきときは、その共有者の承諾を要する(同条3項)。

・D
【選択肢解説】
妥当でない。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、裁判所に分割を請求できる(258条1項)。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。不法占拠者への損害賠償請求は可分債権であり、各共有者は自己の持分の割合の限度でのみ請求できる(判例)。明渡請求(保存行為として単独で全部可)との対比。

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問4:相隣関係に関する次の記述のうち、民法の規定(令和3年改正を含む)に照らし、妥当でないものはどれか。

  • A:土地の所有者は、境界標の調査又は境界に関する測量等のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。
  • B:土地の所有者は、他の土地に設備を設置しなければ電気、ガス又は水道水の供給等の継続的給付を受けることができないときは、必要な範囲内で、他の土地に設備を設置する権利を有する。
  • C:隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、土地の所有者は、竹木の所有者に枝を切除させることができるが、催告しても相当の期間内に切除されないときなど一定の場合には、自らその枝を切り取ることができる。
  • D:隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、土地の所有者は、自らその根を切り取ることができる。
  • E:他の土地に囲まれて公道に通じない土地(袋地)の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができるが、通行の場所及び方法を自由に選択することができる。
【第4問:正解と解説】

正解:E

・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。隣地使用権(209条・令和3年改正で拡充)のとおり。

・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。ライフライン設備設置権(213条の2・令和3年改正で新設)のとおり。

・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。233条(令和3年改正)のとおり。催告後の不切除、所有者不明、急迫の事情がある場合には自ら切除できるようになった。

・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。根は従来から自ら切り取ることができる(233条4項)。「枝=原則切除させる/根=自分で切れる」の対比。

・E
【論点】囲繞地通行権の場所・方法の制限(211条)

【考え方】
公道に至るための他の土地の通行権における通行の場所及び方法は、通行権者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。袋地所有者が自由に選べるわけではない。

【選択肢解説】
本肢は自由に選択できるとしており妥当でない。よって本問の正解である。

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