問5:占有に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
- A:占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定され、さらに無過失についても推定される。
- B:占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還を請求することができるが、この訴えは占有を奪われた時から3年以内に提起しなければならない。
- C:善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得することができる。
- D:悪意の占有者は、占有物に支出した必要費の償還を請求することができない。
- E:占有権は、代理人によって取得することはできない。
【第5問:正解と解説】
正解:C
・A
【選択肢解説】
妥当でない。186条1項が推定するのは、所有の意思・善意・平穏・公然であり、「無過失」は推定されない。10年の短期取得時効では、占有開始時の無過失は、時効取得を主張する者が立証しなければならない。他方、即時取得では、188条の権利適法推定を介して無過失が推定されるとする判例があるため、両者を区別する。
・B
【選択肢解説】
妥当でない。占有回収の訴えは、占有を奪われた時から「1年以内」に提起しなければならない(201条3項)。
・C
【論点】善意占有者の果実収取権(189条1項)
【考え方】
善意の占有者(果実収取権を含む本権があると誤信した占有者)は、占有物から生ずる果実を取得できる。本権の訴えで敗訴したときは起訴の時から悪意の占有者とみなされる(189条2項)。悪意占有者は果実の返還義務を負う(190条)。
【選択肢解説】
本肢は妥当である。
・D
【選択肢解説】
妥当でない。必要費は占有者の善意・悪意を問わず償還請求できる(196条1項。ただし果実を取得した占有者は通常の必要費を負担する)。善意悪意で差が出るのは有益費の裁判所による期限許与(同2項ただし書)である。
・E
【選択肢解説】
妥当でない。占有権は代理人によって取得することができる(181条・代理占有)。賃借人を通じた賃貸人の占有などが典型。
関連過去問:H29,問31
問6:地上権および地役権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
- A:地上権は、工作物又は竹木を所有するため、他人の土地を使用する物権である。
- B:地役権は、要役地の所有権が移転すれば、別段の定めがない限り、これに従たるものとして移転する。
- C:地役権は、要役地から分離して譲渡し、又は他の権利の目的とすることができない。
- D:通行地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
- E:土地の共有者の一人は、自己の持分についてのみ、その土地のために存する地役権を消滅させることができる。
【第6問:正解と解説】
正解:E
・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。265条の地上権の定義である。
・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。地役権の随伴性(281条1項)である。
・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。地役権の付従性(281条2項)である。
・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。283条のとおり。通路の開設が要役地所有者によってされることも判例上要求される。
・E
【論点】地役権の不可分性(282条)
【考え方】
土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができない。地役権は要役地・承役地の全体のために存在する不可分の権利だからである。
【選択肢解説】
本肢は持分についての消滅を可能としており妥当でない。よって本問の正解である。
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