問7:詐害行為取消権に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、妥当なものはどれか。
- A:詐害行為取消請求は、受益者に対するものであっても裁判所に請求する方法によらなければならず、また、債権者は、その被保全債権が詐害行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、これを行使することができる。
- B:詐害行為取消権は、債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを要件とするから、受益者がその行為の時に債権者を害することを知らなかったときでも、債務者に詐害意思が認められる限り、債権者は詐害行為取消請求をすることができる。
- C:詐害行為取消請求を認容する確定判決は、訴訟の当事者である債権者と受益者との間においてのみ効力を有し、訴訟の当事者とならなかった債務者に対しては効力を有しない。
- D:詐害行為取消請求に係る訴えは、債務者が債権者を害することを知って行為をした時から2年を経過したときは、提起することができない。
- E:転得者に対する詐害行為取消請求は、受益者に対して詐害行為取消請求をすることができる場合であれば、転得者が転得の当時に債権者を害することを知っていたかどうかにかかわらず、することができる。
【第7問:正解と解説】
正解:A
・A
【論点】詐害行為取消権の行使方法と被保全債権の要件(424条1項・3項)
【考え方】
詐害行為取消権は債務者の財産処分行為を否定する強力な権利であるため、必ず訴えによる行使が要求される(裁判上の行使)。また、詐害行為より後に生じた債権の債権者は、その行為によって害されたとはいえないため、被保全債権は詐害行為の前の原因に基づいて生じたものであることを要する(被保全債権の先行性)。
【選択肢解説】
本肢は424条1項本文および3項のとおりであり、妥当である。「裁判上の行使」と「被保全債権の先行性」は、記述式でも問われうる基本要件である。
【記述式連結】この論点は記述式モジュール(07_02_04)問4「詐害行為取消権の要件」で40字記述として再出する。択一で判別できた知識を、条文の要件・判例の規範として自分の言葉で書き出せるかまで仕上げること。
・B
【選択肢解説】
妥当でない。424条1項ただし書により、受益者がその行為の時に債権者を害することを知らなかったときは、詐害行為取消請求をすることができない。債務者の詐害意思に加えて受益者の悪意が必要である。
・C
【選択肢解説】
妥当でない。425条により、詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者およびその全ての債権者に対してもその効力を有する。改正民法は、旧法下の相対的取消しの構成を改め、判決効を債務者にも及ぼすこととした。
・D
【選択肢解説】
妥当でない。426条の期間制限は「債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から2年」および「行為の時から10年」である。本肢は起算点を「行為をした時」に、期間を2年にすり替えており、条文と一致しない。
・E
【選択肢解説】
妥当でない。424条の5第1号により、受益者に対して詐害行為取消請求をすることができる場合において転得者に対して請求するには、転得者が転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたことが必要である。
関連過去問:H28,問32
