重要度:A 論点:委任命令の限界
問4:法律の委任に基づく命令(委任命令)に関する判例の説明として適切なものはどれか。
- A:薬事法施行規則による第一類・第二類医薬品のインターネット販売の一律禁止は、法律の委任の範囲内として適法とされた
- B:旧監獄法施行規則により被勾留者と14歳未満の者との接見を原則として禁止したことは、法律の委任の範囲を超え、無効とされた
- C:委任命令が委任の範囲を超えるかどうかは、命令の内容の合理性のみによって判断され、授権法律の趣旨は考慮されない
【第4問:正解と解説】
正解:B
【解説】
・A:不適切。薬事法施行規則が第一類・第二類医薬品の郵便等販売を一律に禁止した部分は、改正後の薬事法の趣旨に適合せず、その委任の範囲を逸脱した違法・無効なものとされた(最判平25.1.11)。本肢は結論が逆である。
・B:適切。旧監獄法45条は、被勾留者と外部の者との接見を原則として許す趣旨であり、同法50条の委任は接見の態様に関する制限を命令に委ねたものにとどまる。そこで、14歳未満の者と被勾留者との接見を原則として禁止した旧監獄法施行規則120条等は、法律によらず被勾留者の接見の自由を著しく制限し、委任の範囲を超えて無効とされた(最判平3.7.9)。【試験対策】委任命令の違法判例は、結論だけでなく、授権法律の趣旨・目的と命令の規制範囲を対比して確認する。
・C:不適切。判断の中心は授権法律の趣旨・目的に適合するかであり、法律の解釈を離れた命令内容だけの審査ではない。
関連過去問:R3,問10
重要度:A 論点:代執行の対象
問5:行政代執行の対象となる義務として適切なものはどれか。
- A:違法建築物の除却命令によって課された除却義務
- B:営業停止命令によって課された営業をしてはならない義務
- C:感染症予防のための健康診断を受診する義務
【第5問:正解と解説】
正解:A
【解説】
・A:適切。建物の除却は他人が代わって行うことができる代替的作為義務であり、代執行の対象となる。【試験対策】代執行の対象は「代替的作為義務」のみ。①不作為義務(営業停止)②非代替的作為義務(受診・出頭)は対象外、という消去法の訓練が有効。
・B:不適切。営業停止義務は不作為義務であり、他人が代わって履行することができないため代執行の対象とならない。
・C:不適切。健康診断の受診は本人でなければ意味をなさない非代替的作為義務であり、代執行になじまない。
関連過去問:H30,問8
重要度:A 論点:行政上の義務の民事執行
問6:宝塚市パチンコ条例事件(最判平14.7.9)の判旨として適切なものはどれか。
- A:地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に行政上の義務の履行を求める訴訟は、法律上の争訟にあたらず不適法である
- B:行政上の義務の履行確保は、条例に定めがあれば民事執行の方法によることができる
- C:地方公共団体が財産権の主体として提起する金銭支払請求訴訟も、法律上の争訟にあたらない
【第6問:正解と解説】
正解:A
【解説】
・A:適切。行政上の義務の司法的執行を否定した重要判例。【試験対策】「行政的執行の手段がなければ民事執行に頼れるか」への判例の答えはノー。義務履行確保の手段は法律で用意するほかない、という帰結まで理解する。
・B:不適切。義務履行確保の手段は法律の専管事項であり(行政代執行法1条)、条例で民事執行への途を開くこともできない。
・C:不適切。財産権の主体として権利を主張する訴訟(未払金の請求等)は法律上の争訟にあたり適法である。「専ら行政権の主体として」の部分が判例の限定である。
関連過去問:H29,問44(記述)
