重要度:A 論点:許可・特許・認可の効果
問1:農地の売買についてA・B間で契約が締結されたが、農地法所定の許可(講学上の認可)を得ていない。この場合の法律関係として適切なものはどれか。
- A:許可(認可)は取締規定にすぎないため、AB間の売買契約は私法上有効である
- B:講学上の認可は私人間の法律行為の効力を補充して完成させる行為であるため、認可のない売買契約は効力を生じない
- C:認可を得ていない売買契約は当然に有効だが、当事者は処罰の対象となる
【第1問:正解と解説】
正解:B
【解説】
・A:不適切。「無許可でも私法上有効」となるのは講学上の「許可」(営業許可等)の場合である。認可とのすり替え。
・B:適切。認可は効力要件であり、無認可の行為は無効となる。【試験対策】「無許可=処罰されるが私法上有効/無認可=私法上無効」の効果の対比が総論最頻出。行為の名称ではなく講学上の性質で判断する。
・C:不適切。無認可の契約は効力を生じないため「当然に有効」が誤り。処罰と効力の組合せは許可の説明である。
関連過去問:H30,問9
重要度:A 論点:公定力と国家賠償
問2:違法な課税処分により金銭を徴収されたAが、処分の取消判決を得ることなく国家賠償請求訴訟を提起した。この訴訟に関する記述として適切なものはどれか。
- A:課税処分には公定力があるため、あらかじめ取消訴訟で処分を取り消さない限り、国家賠償請求は認められない
- B:国家賠償請求訴訟は処分の効力を否定するものではないため、取消判決を経ることなく処分の違法を主張して賠償を求めることができる
- C:国家賠償請求が認められるためには、まず審査請求の裁決を経なければならない
【第2問:正解と解説】
正解:B
【解説】
・A:不適切。公定力は処分の「効力」を維持する効力であり、金銭賠償を求める国賠訴訟には及ばない。
・B:適切。判例(最判昭36.4.21)は取消判決を経ない国賠請求を認める。【試験対策】「国賠には公定力は及ばない」は公定力の限界の代表例。刑事訴訟でも同様。取消訴訟の排他的管轄が及ぶのは処分の効力を争う場面に限られる。
・C:不適切。国家賠償請求に審査請求前置の仕組みはない。
関連過去問:H30,問10
重要度:A 論点:職権取消しと撤回
問3:行政庁が一度行った行政行為の効力を失わせる場面に関する記述として適切なものはどれか。
- A:成立時から瑕疵のある行政行為の効力を失わせるのが職権取消しであり、適法に成立した後の事情変化を理由に将来に向かって効力を失わせるのが撤回である
- B:撤回は監督庁も行うことができるが、職権取消しは処分庁のみが行うことができる
- C:撤回の効果は処分時に遡り、職権取消しの効果は将来に向かってのみ生じる
【第3問:正解と解説】
正解:A
【解説】
・A:適切。原始的瑕疵=職権取消し、後発的事情=撤回という講学上の区別である。【試験対策】法令上は撤回に当たる処分も「取消し」と表記されることが多いため、問題文の実質で判断する。菊田医師事件(最判昭63.6.17)は、指定の撤回によって相手方が被る不利益を考慮してもなお撤回すべき公益上の必要性が高い場合には、撤回について直接の明文規定がなくても、指定権限を有する機関はその権限に基づき撤回できるとした。
・B:不適切。逆である。撤回は処分庁のみが行うことができ、監督庁は法律の根拠がない限りできない。職権取消しは監督庁も可能と解されている。
・C:不適切。効果の説明が逆である。職権取消しは原則として行政行為の成立時に遡って効力を失わせ、撤回は原則として将来に向かって効力を失わせる。したがって、本肢は両者を逆にしている。
関連過去問:H28,問8
