行政書士 行政法 応用編(3〜4問)|行政事件訴訟法

問3:訴えの利益および取消訴訟以外の抗告訴訟等に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  • A:運転免許停止処分の取消訴訟は、停止期間が経過し、かつ処分後1年間無違反で経過した場合であっても、訴えの利益が失われることはない。
  • B:建築確認の取消訴訟は、建築工事が完了した後であっても、当然に訴えの利益が存続する。
  • C:処分の効果が期間の経過により消滅した後であっても、処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者は、取消訴訟を提起することができる。
  • D:無効等確認の訴えには、取消訴訟と同様に6か月の出訴期間の制限がある。
  • E:在外国民が次回の衆議院議員総選挙において投票をすることができる地位にあることの確認を求める訴えは、法律上の争訟にあたらず不適法である。
【第3問:正解と解説】

正解:C

・A
【選択肢解説】
妥当でない。最判昭55.11.25は、処分の日から無違反で1年を経過し、処分を理由に道路交通法上不利益を受けるおそれがなくなった場合には、訴えの利益は失われるとした。

・B
【選択肢解説】
妥当でない。工事完了後は、建築確認の取消しによって回復すべき法律上の利益は失われる(最判昭59.10.26)。

・C
【論点】9条1項かっこ書(期間経過後の訴えの利益)

【考え方】
処分の効果が期間の経過その他の理由によりなくなった後でも、なお処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者には原告適格(訴えの利益)が認められる。処分基準による加重期間中の先行処分(最判平27.3.3)などが具体例である。

【選択肢解説】
本肢は9条1項かっこ書のとおりであり、妥当である。

・D
【選択肢解説】
妥当でない。無効等確認の訴えに出訴期間の制限はない。重大明白な瑕疵ある処分はいつまでも効力を争えるという無効の性質の帰結である。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。在外邦人選挙権訴訟(最大判平17.9.14)は、この確認の訴えを公法上の当事者訴訟(公法上の法律関係に関する確認の訴え)として適法とし、請求を認容した。

関連過去問:R6,問17


問4:義務付けの訴えおよび差止めの訴えに関する次の記述のうち、行政事件訴訟法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  • A:申請に対する拒否処分がされた場合において義務付けの訴えを提起するときは、その処分に係る取消訴訟又は無効等確認の訴えを併合して提起しなければならない。
  • B:行政庁が一定の処分をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、その処分がされることにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときは、差止めの訴えを提起することができる。
  • C:非申請型(直接型)の義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。
  • D:差止めの訴えについて判例は、処分がされた後に取消訴訟等を提起して執行停止を受けることにより容易に救済を受けることができる場合には、「重大な損害を生ずるおそれ」があるとは認められないとしている。
  • E:義務付けの訴えおよび差止めの訴えは、いずれも2004年改正前から法定されていた抗告訴訟である。
【第4問:正解と解説】

正解:E

・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。申請型義務付け訴訟の併合提起要件(37条の3第3項2号)である。

・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り提起することができる。ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは提起することができない(行政事件訴訟法37条の4第1項)。本肢は、重大な損害のおそれと補充性の双方を示している。

・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。37条の2第1項のとおり。周辺住民が規制権限の発動を求める場合などが典型。

・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。国歌斉唱事件(最判平24.2.9)の判断枠組みである。事後救済で足りるなら事前救済は認めない趣旨。

・E
【論点】2004年改正による新しい訴訟類型の法定

【考え方】
義務付けの訴えと差止めの訴えは、救済の実効性を高めるため2004年(平成16年)改正で新たに法定された抗告訴訟である。改正前は法定外(無名)抗告訴訟として議論されていたにすぎない。同改正では他に、被告適格の行政主体主義への転換、出訴期間の6か月への伸長、「重大な損害」への執行停止要件の緩和、当事者訴訟としての確認訴訟の明示等が行われた。

【選択肢解説】
本肢は改正前から法定されていたとしており妥当でない。よって本問の正解である。

【記述式連結】選択肢Aの申請型義務付け訴訟は、記述式モジュール(07_01_04)問1で40字記述として再出する。訴訟要件・本案勝訴要件・取消訴訟等との併合提起まで自分の言葉で書き出せるかまで仕上げること。

関連過去問:H30,問19


タイトルとURLをコピーしました