行政書士 行政法 応用編(7〜8問)|情報法制

問7:情報公開法に基づく行政文書の開示請求と、個人情報保護法に基づく保有個人情報の開示請求に関する次の記述のうち、法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  • A:情報公開法の開示請求は何人も目的を問わず行うことができるのに対し、保有個人情報の開示請求は、自己を本人とする保有個人情報について、本人(法定代理人・本人の委任による代理人を含む)が行うものとされている。
  • B:開示決定等は、いずれの制度においても請求があった日から30日以内に行うのが原則であり、いかなる理由があってもこの期間を延長することはできない。
  • C:開示決定等に対して審査請求がされた場合、いずれの制度においても、行政不服審査法の原則どおり審理員による審理が行われた上で、行政不服審査会に諮問される。
  • D:情報公開法に基づく開示請求において、開示請求者が自己の個人情報が記録された行政文書の開示を求めた場合には、本人からの請求である以上、個人に関する情報(5条1号)に該当することを理由に不開示とすることはできない。
  • E:開示請求に係る情報の存否を答えるだけで不開示情報を開示することとなる場合に請求を拒否できる存否応答拒否の制度は、情報公開法に固有のものであり、個人情報保護法には対応する規定が存在しない。
【第7問:正解と解説】

正解:A

・A
【論点】二つの開示請求制度の請求権者の対比

【考え方】
情報公開制度は「誰でも・目的不問」で行政の説明責任を担保する客観的制度であるのに対し、個人情報保護法の開示請求は自己情報コントロールに仕える本人のための制度である。この性格の違いが、請求権者・不開示判断・救済の各場面の規律の違いに一貫して現れる。

【選択肢解説】
本肢のとおりであり、妥当である。情報公開法3条は「何人も」と定め、個人情報保護法76条は自己を本人とする保有個人情報についての請求と定めた上で、同条2項が法定代理人および本人の委任による代理人による請求を認めている。

・B
【選択肢解説】
妥当でない。30日以内が原則である点は両制度共通だが(情報公開法10条1項、個人情報保護法83条1項)、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは30日以内に限り延長できる(情報公開法10条2項、個人情報保護法83条2項)。「いかなる理由があっても延長できない」が誤り。

・C
【選択肢解説】
妥当でない。開示決定等に係る審査請求では審理員に関する規定は適用除外とされ(情報公開法18条等)、諮問先も行政不服審査会ではなく情報公開・個人情報保護審査会である(情報公開法19条等)。専門的第三者機関による調査審議に置き換えられている。

・D
【選択肢解説】
妥当でない。現行の情報公開法は、開示請求者が誰であるかを考慮せずに不開示情報該当性を客観的に判断する制度であり、本人からの請求であっても、個人に関する情報(5条1号)に該当する以上、不開示となり得る。本人が自己情報の開示を求めるルートは個人情報保護法76条の開示請求である。なお、最判平13.12.18は、旧兵庫県条例の解釈として、本人からの請求について非公開とすべき理由がないとした(本人開示を認めた)判例であり、本人開示を認めない現行の国の情報公開法とは制度の前提が異なる点に注意。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。存否応答拒否は情報公開法8条のほか、個人情報保護法81条にも規定されている。病歴等、保有個人情報の存否自体が不開示情報を明らかにしてしまう場合に対応する制度であり、両制度に共通する。

関連過去問:R7,問26


問8:行政機関等における個人情報の取扱いに関する次の記述のうち、個人情報保護法の規定に照らし、妥当なものはどれか。

  • A:行政機関は、法令の定める所掌事務の遂行に必要な場合には、利用目的を特定することなく個人情報を保有することができる。
  • B:保有個人情報を利用目的以外の目的のために利用し、または提供することは、本人の同意がある場合であっても、一切認められない。
  • C:要配慮個人情報については、その取扱いの機微性に鑑み、行政機関がこれを保有すること自体が法律上禁止されている。
  • D:行政機関の長は、利用停止請求に理由があると認めるときは、当該行政機関における個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な限度で利用停止をしなければならないが、事務の性質上、事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められるときは、この限りでない。
  • E:個人情報保護委員会は、行政機関の個人情報の取扱いについて資料の提出要求や実地調査を行うことはできるが、行政機関の長に対して勧告を行う権限は有しない。
【第8問:正解と解説】

正解:D

・A
【選択肢解説】
妥当でない。61条1項により、行政機関等は個人情報を保有するに当たっては利用目的をできる限り特定しなければならず、法令の定める所掌事務・業務の遂行に必要な場合に限り、かつその特定された利用目的の達成に必要な範囲でのみ保有できる。「特定することなく」が誤り。

・B
【選択肢解説】
妥当でない。目的外利用・提供は原則禁止だが(69条1項)、本人の同意があるときや本人に提供するときをはじめ、同条2項各号の例外が定められている。「一切認められない」が誤り。

・C
【選択肢解説】
妥当でない。要配慮個人情報(2条3項)について、行政機関の保有自体を禁止する規定は存在しない。保有は利用目的による一般規律(61条)に服する。なお民間の個人情報取扱事業者には取得についての原則本人同意(20条2項)の規律がある点と混同しないこと。

・D
【論点】利用停止請求に対する行政機関の長の義務(100条)

【考え方】
利用停止は違法な取扱いの是正手段であり、理由があれば応じる義務が生じる。ただし行政事務の継続性・適正な遂行との調整のため、著しい支障がある場合の除外が置かれている。「義務+ただし書」という条文構造そのものが出題対象になる。

【選択肢解説】
本肢は100条のとおりであり、妥当である。「必要な限度で」という限定と、ただし書の存在の両方を正確に読み取ることが求められる。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。個人情報保護委員会は、行政機関等に対し、資料の提出要求・実地調査(156条)、指導・助言(157条)に加えて、勧告(158条)およびその措置についての報告要求(159条)の権限を有する。一元化により公的部門への監視権限が委員会に集約された。

関連過去問:R7,問57/R5,問57


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