行政書士 行政法 応用編(1〜2問)|行政事件訴訟法

問1:処分性および原告適格に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  • A:土地区画整理事業の事業計画の決定は、事業の青写真にすぎないため、抗告訴訟の対象となる処分にあたらないとするのが現在の判例である。
  • B:医療法に基づく病院開設中止の勧告は行政指導であるが、これに従わない場合には相当程度の確実さをもって保険医療機関の指定を受けられなくなるという仕組みに照らし、抗告訴訟の対象となる処分にあたる。
  • C:市立保育所を廃止する条例の制定行為は、普通地方公共団体の議会が行う立法作用であるから、抗告訴訟の対象となる処分にあたることはない。
  • D:都市計画事業の認可の取消訴訟において、事業地の周辺に居住する住民は、いかなる場合も原告適格を有しない。
  • E:場外車券発売施設の設置許可について、施設の周辺において居住する者は、一般的に原告適格を有する。
【第1問:正解と解説】

正解:B

・A
【選択肢解説】
妥当でない。最大判平20.9.10は従来の「青写真」判決を変更し、換地処分を受けるべき地位に立たされることや実効的権利救済の観点から処分性を肯定した。

・B
【論点】行政指導の処分性(病院開設中止勧告・最判平17.7.15)

【考え方】
行為の形式(行政指導)ではなく、勧告に従わない場合に保険医療機関指定を受けられなくなり実際上病院開設を断念せざるを得なくなるという法的仕組み全体に着目して、処分性を肯定した。仕組み解釈による処分性拡大の代表判例である。

【選択肢解説】
本肢は判旨のとおりであり、妥当である。

・C
【選択肢解説】
妥当でない。保育所廃止条例は、特定の保育所の廃止のみを内容とし特定の者の法的地位を直接奪うため、処分と実質的に同視され処分性が肯定された(最判平21.11.26)。

・D
【選択肢解説】
妥当でない。小田急訴訟大法廷判決は、騒音・振動等により健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある周辺住民の原告適格を肯定した。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。サテライト大阪事件は、周辺の一般住民の原告適格を否定した(位置基準が個別的利益として保護する医療施設等の開設者には肯定の余地)。

関連過去問:R4,問18


問2:取消訴訟の手続および判決に関する次の記述のうち、行政事件訴訟法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  • A:裁判所は、処分が違法であっても、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合には、請求を認容した上で、賠償を命ずる判決をすることができる。
  • B:取消訴訟は、原則として、処分をした行政庁の所属する国又は公共団体を被告として提起しなければならない。
  • C:処分の取消判決が確定した場合、その判決は第三者に対しても効力を有する。
  • D:申請を拒否した処分が判決により取り消されたときは、処分庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。
  • E:取消訴訟は、正当な理由がある場合を除き、処分又は裁決があったことを知った日から6か月を経過したときは提起することができない。
【第2問:正解と解説】

正解:A

・A
【論点】事情判決(31条)の構造

【考え方】
事情判決は、諸事情を考慮して取消しが公共の福祉に適合しないと認めるときに、請求を「棄却」する判決であり、その主文において処分が違法であることを宣言する。請求を認容した上で賠償を命じる制度ではない(損害賠償は別途国家賠償請求による)。

【選択肢解説】
本肢は「認容した上で賠償を命ずる」としており妥当でない。よって本問の正解である。「棄却+違法の宣言」という特殊な構造が核心。

【記述式連結】この論点は記述式モジュール(07_01_04)問3「事情判決」で40字記述として再出する。択一で判別できた知識を、条文の要件・手続の流れとして自分の言葉で書き出せるかまで仕上げること。

・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。行政主体主義(11条)である。

・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。第三者効(32条1項)である。

・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。拘束力の内容(33条2項)である。

・E
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。14条1項のとおり(客観的期間は1年)。

関連過去問:R6,問18


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