行政書士 憲法 初級編(1〜3問)|統治・裁判所

重要度:A 論点:司法権の限界の判例整理

問1:司法権の限界に関する判例の説明として適切なものはどれか。

  • A:苫米地事件は、衆議院の解散について、一見極めて明白に違憲無効でない限り司法審査が及ばないとした
  • B:砂川事件は、高度の政治性を有する条約について、一見極めて明白に違憲無効と認められない限り司法審査の範囲外にあるとした
  • C:富山大学事件は、大学の単位認定行為は常に司法審査の対象となるとした
【第1問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:不適切。「一見極めて明白に違憲無効」の留保を付したのは砂川事件である。苫米地事件は、衆議院の解散のような直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為について、法律上の争訟となり、その有効・無効の判断が法律上可能であっても、司法審査の対象外となるとした。なお、「純粋型」などの呼称は学説上の整理であり、判決自身の用語ではない。
・B:適切。砂川事件は、日米安全保障条約のように高度の政治性を有する条約について、その内容が一見極めて明白に違憲無効であると認められない限り、司法審査の範囲外にあるとした。なお、「変形型」などの呼称は学説上の整理であり、判決自身の用語ではない。
・C:不適切。富山大学事件は、単位認定は特段の事情がない限り司法審査の対象と「ならない」とした(専攻科修了認定は対象となる)。

関連過去問:H19,問5


重要度:A 論点:部分社会の法理

問2:団体内部の紛争と司法審査に関する判例の説明として適切なものはどれか。

  • A:富山大学事件は、専攻科修了の認定は一般市民法秩序と直接関係するため司法審査の対象となるとした
  • B:共産党袴田事件は、政党の内部処分はいかなる場合も司法審査の対象とならないとした
  • C:部分社会の法理により、地方議会議員に対する懲罰はすべて司法審査の対象外とされている
【第2問:正解と解説】

正解:A
【解説】
・A:適切。単位認定(対象外)と専攻科修了認定(対象)の結論の違いは「一般市民法秩序との直接の関係」の有無による。【試験対策】同じ判例の中で結論が分かれる部分こそ出題ポイント。何が基準で分かれたのかまで覚える。
・B:不適切。袴田事件は、一般市民法秩序と直接関係する場合(家屋明渡請求等)には司法審査が及ぶとした上で、審査範囲を手続の適正に限定した。「いかなる場合も」が誤り。
・C:不適切。判例は従来、議員の除名処分は司法審査の対象としてきた。さらに最大判令2.11.25は出席停止の懲罰も司法審査の対象となるとして判例を変更しており、「すべて対象外」は現在の判例に明確に反する。

関連過去問:H19,問5


重要度:A 論点:違憲審査制

問3:違憲審査制に関する記述として適切なものはどれか。

  • A:警察予備隊訴訟により、わが国の裁判所は具体的事件を離れて法令の合憲性を抽象的に審査する権限を有することが確認された
  • B:違憲審査権は最高裁判所のみが行使でき、下級裁判所には認められない
  • C:わが国の違憲審査制は、具体的な争訟事件の解決に必要な限度で憲法判断を行う付随的審査制である
【第3問:正解と解説】

正解:C
【解説】
・A:不適切。警察予備隊訴訟は抽象的審査の権限を明確に否定した判例である。結論が逆。
・B:不適切。違憲審査権は司法権の行使に付随するものとして、下級裁判所も行使できると解されている(81条は最高裁が「終審」であることを定めるにとどまる)。
・C:適切。付随的審査制がわが国の違憲審査制の基本的性格である。【試験対策】「抽象的審査×・下級裁判所も○・最高裁は終審」の3点セット。

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