重要度:A 論点:外国人の人権(各論の仕分け)
問7:外国人の人権に関する判例の説明として適切なものはどれか。
- A:外国人には入国の自由が保障されないだけでなく、在留する権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利も憲法上保障されていない
- B:みだりに指紋押なつを強制されない自由は憲法13条により日本国民に対してのみ保障され、わが国に在留する外国人には及ばない
- C:限られた財源下の社会保障立法において自国民を在留外国人より優先的に扱うことは、生存権を保障する憲法25条に違反し許されない
【第7問:正解と解説】
正解:A
【解説】
・A:適切。マクリーン事件は、外国人には憲法上、日本への入国の自由や、在留する権利ないし引き続き在留することを要求し得る権利は保障されていないとした。【試験対策】外国人の人権は一括して判断せず、権利の性質ごとに整理する。入国・在留の権利は憲法上保障されず、政治活動の自由は在留制度の枠内で保障される。みだりに指紋の押なつを強制されない自由は外国人にも保障されるが、合理的な制限を受け得る。憲法25条に関する社会保障施策では、外国人を対象とするかについて立法府に広い裁量が認められる。
・B:不適切。判例は指紋押なつを強制されない自由を13条により外国人にも保障されるとした(結論としては当時の制度を合憲としたが、自由の保障自体は認めた)。
・C:不適切。塩見訴訟は、社会保障政策において自国民を在留外国人より優先的に扱うことも許されるとした(立法裁量)。
関連過去問:H29,問3
重要度:B 論点:未成年者・天皇と人権
問8:人権の享有主体に関する記述として適切なものはどれか。
- A:法人には、権利の性質上可能な限り人権規定が適用されるため、政治的行為の自由のみならず選挙権も当然に保障される
- B:天皇・皇族は、日本国籍を有しない特別の存在であるため、およそ人権の享有主体とはならないと解されている
- C:未成年者も人権の享有主体であるが、心身の未成熟を理由とする一定の制約(パターナリスティックな制約)が正当化される場合がある
【第8問:正解と解説】
正解:C
【解説】
・A:不適切。選挙権は自然人にのみ認められる権利であり、法人には性質上保障されない(八幡製鉄事件も政治的行為の自由を認めたにとどまる)。
・B:不適切。天皇・皇族も日本国籍を有する日本国民であり、人権の享有主体性を認めるのが一般的な見解であるが、その地位の特殊性から参政権等について大幅な制約を受けると解されている(この点を直接判示した最高裁判例はない点に注意)。
・C:適切。未成年者の人権制約の基本的な考え方である。【試験対策】喫煙・飲酒の禁止や婚姻適齢など、本人の保護を目的とする制約の正当化根拠として「限定されたパターナリズム」が語られる。
関連過去問:H29,問3
重要度:B 論点:基本的人権の限界(公共の福祉)
問9:人権の限界に関する記述として適切なものはどれか。
- A:現在の通説的な考え方によれば、人権の制約が許されるかどうかは、規制の目的・手段を個別の人権の性質に応じて審査することによって判断される
- B:公共の福祉による人権の制約は、22条・29条が明文で定める経済的自由権にのみ及び、精神的自由権には一切及ばない
- C:最高裁の判例は、二重の基準論を明示的に採用しており、精神的自由を規制する立法はすべて厳格審査基準によって審査している
【第9問:正解と解説】
正解:A
【解説】
・A:適切。比較衡量・違憲審査基準論による個別的審査の考え方である。【試験対策】「一律の公共の福祉論→個別の利益衡量・審査基準論へ」という学説の展開と、精神的自由優位(二重の基準)の発想を押さえる。
・B:不適切。精神的自由も内在的制約(他者の人権との調整)には服する。無制約な人権は存在しない。
・C:不適切。判例は薬事法判決等で二重の基準の発想をうかがわせるが、精神的自由の分野で厳格審査を明示的・一貫的に採用しているとまでは言い難い(猿払事件等では緩やかな審査)。
関連過去問:-
