重要度:A 論点:使用者責任
問11:使用者責任(715条)の要件と、「事業の執行について」の判断基準、求償の制限を述べよ。
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①使用者と被用者との間に実質的な指揮監督関係があること、②被用者が事業の執行について第三者に損害を加えたこと、③被用者自身について不法行為が成立することが要件となる。もっとも、使用者が被用者の選任及び事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは免責される(715条1項ただし書)。「事業の執行について」は、行為の外形から客観的に職務の範囲内と認められるかによって判断され、取引的不法行為では相手方に悪意又は重大な過失があると使用者責任が否定される。使用者から被用者への求償は、諸般の事情に照らし、損害の公平な分担の見地から信義則上相当と認められる限度に制限される(最判昭51.7.8)。被用者が第三者に損害を賠償した場合も、同様の事情に照らして相当と認められる額について、使用者に求償することができる(最判令2.2.28)。
関連過去問:H30,問33
重要度:B 論点:共同不法行為
問12:共同不法行為者の責任について述べよ。
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数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う(719条1項前段)。共同行為者のうちいずれが損害を加えたか不明なとき、および教唆者・幇助者も同様である。ここでの連帯債務は被害者保護のため、弁済等以外の事由の絶対効が制限される(不真正連帯債務的処理)。
関連過去問:-
重要度:A 論点:工作物責任
問13:土地の工作物の設置・保存の瑕疵による損害についての責任を述べよ。
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第一次的には占有者が責任を負うが、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたことを立証すれば免責される(中間責任)。この場合、所有者が責任を負い、所有者は免責の立証が許されない無過失責任である(717条1項)。損害の原因について他に責任を負う者があるときは、占有者・所有者はその者に求償できる(同3項)。
関連過去問:-
重要度:A 論点:監督義務者の責任
問14:責任無能力者の監督義務者の責任(714条)に関する近時の判例の傾向を述べよ。
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責任無能力者が責任を負わない場合、監督義務者は監督義務を怠らなかったことを立証しない限り賠償責任を負う(中間責任)。判例は、通常は人身に危険が及ばない行為(校庭でのサッカー練習)で偶発的に損害が生じた場合に親権者の監督義務違反を否定し(サッカーボール事件・最判平27.4.9)、認知症高齢者の家族が「法定の監督義務者に準ずべき者」にあたるかは諸般の事情を総合考慮して判断するとした(JR東海事件・最判平28.3.1・同事案では責任否定)。
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重要度:B 論点:生命侵害と近親者・胎児
問15:生命侵害の場合の近親者固有の慰謝料請求権と、胎児の扱いを述べよ。
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他人の生命を侵害した者は、被害者の父母・配偶者・子に対し、その財産権が侵害されていない場合でも、固有の慰謝料を賠償しなければならない(711条)。判例は、同条所定の者でなくても、被害者との間にこれらの者と実質的に同視し得る身分関係があり、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者には、同条を類推適用する。具体例として、被害者の夫の実妹で、重度の身体障害があり、長年被害者と同居してその庇護の下で生活していた者について、固有の慰謝料請求を認めた(最判昭49.12.17)。胎児は、損害賠償請求権については既に生まれたものとみなされる(721条)。
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