重要度:A 論点:未成年者の取消し
問1:17歳のAが法定代理人の同意を得ずに自己の高価な時計をBに売却した。この売買の取消しに関する記述として適切なものはどれか。
- A:Aは未成年者であるため、A自身が単独で取り消すことはできず、法定代理人のみが取り消すことができる
- B:A自身も、法定代理人の同意を得ることなく単独でこの売買を取り消すことができる
- C:Bは、Aが成年に達する前でも、A本人に対して催告し、確答がなければ追認とみなすことができる
【第1問:正解と解説】
正解:B
【解説】
・A:不適切。制限行為能力者本人も取消権者であり(120条1項)、取消しの意思表示自体は単独で有効にできる。
・B:適切。取消しは制限行為能力者を保護する制度であり、本人が単独でできる。【試験対策】「取り消しうる行為の取消し」はそれ自体が本人に不利益をもたらさないため単独で可能。追認は単独でできない点と対比。
・C:不適切。制限行為能力者本人への催告は、その者が行為能力者となった後でなければ効力を生じない(20条1項)。未成年者Aへの催告は無意味である。
関連過去問:R7,問27
重要度:A 論点:錯誤の要件
問2:Aは、近隣に鉄道の新駅ができると誤信してB所有の土地を購入したが、新駅計画は存在しなかった。Aの錯誤取消しに関する記述として適切なものはどれか。
- A:動機の錯誤(基礎事情の錯誤)にあたるから、表示の有無を問わず、いかなる場合も取り消すことはできない
- B:Aに重大な過失があった場合であっても、錯誤の重要性が認められる限り、Aは常に取り消すことができる
- C:新駅ができることが契約の基礎とされている旨が表示されていたときは、錯誤の重要性が認められれば取り消すことができる
【第2問:正解と解説】
正解:C
【解説】
・A:不適切。基礎事情の錯誤(動機の錯誤)も、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていれば取消しの対象となる(95条2項)。
・B:不適切。表意者に重過失があるときは原則取消し不可(95条3項)。例外は相手方の悪意・重過失と共通錯誤の場合のみ。
・C:適切。95条1項2号・2項の要件を満たせば取消し可能。【試験対策】改正後は「無効」ではなく「取消し」。①重要性+②基礎事情の表示、の二段の要件をセットで覚える。
関連過去問:H29,問28
重要度:A 論点:無権代理と相続
問3:BはAの代理人と偽り、A所有の土地をCに売却した。その後Aが死亡し、BがAを単独相続した。この場合の法律関係として適切なものはどれか。
- A:Bは本人の地位を相続したので、本人の資格で追認を拒絶することができる
- B:無権代理行為は当然に有効となり、Bは追認を拒絶することができない
- C:売買契約は無効であり、CはBに対して何らの請求もできない
【第3問:正解と解説】
正解:B
【解説】
・A:不適切。追認拒絶が許されるのは「本人が無権代理人を相続した」逆のパターンである。方向を入れ替えたひっかけ。
・B:適切。本問のように、本人Aが生前に追認を拒絶しないまま死亡し、無権代理人BがAを単独相続した場合、Bは本人の資格で追認を拒絶できず、相手方Cは追認の事実を主張立証することなく無権代理行為の効果をBに主張できる(最判昭40.6.18)。ただし、Aが生前に追認を拒絶していた場合は、その後BがAを単独相続しても無権代理行為は有効にならない(最判平10.7.17)。【試験対策】相続の方向だけでなく、本人による生前の追認拒絶の有無も確認する。
【記述式連結】この論点は記述式モジュール(07_02_04)問5「無権代理と相続」で40字記述として再出する。択一で判別できた知識を、条文の要件・判例の規範として自分の言葉で書き出せるかまで仕上げること。
・C:不適切。契約は有効となるため無効の前提が誤り。仮に本人が無権代理人を相続した場合でも、Cは117条の無権代理人の責任(相続される)を追及しうる。
関連過去問:H28,問28
