行政書士 民法 応用編(1〜2問)|債権各論(法定債権)

問1:不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  • A:使用者責任における「事業の執行について」の該当性は、被用者の主観的な職務意思の有無によって判断される。
  • B:土地の工作物の設置又は保存の瑕疵により他人に損害が生じた場合、工作物の所有者は、損害の発生を防止するのに必要な注意をしたことを立証すれば責任を免れる。
  • C:被害者が不法行為により死亡した場合に支払われる生命保険金は、損益相殺として損害賠償額から控除される。
  • D:責任を弁識する能力のない未成年者の行為について監督義務者の責任が問われる場合、監督義務者は、その義務を怠らなかったこと等を立証すれば責任を免れる。
  • E:不法行為による損害賠償請求権は、不法行為の時から10年間行使しないときは、時効によって消滅する。
【第1問:正解と解説】

正解:D

・A
【選択肢解説】
妥当でない。「事業の執行について」は行為の外形から客観的に判断される(外形標準説)。被用者の主観ではない。

・B
【選択肢解説】
妥当でない。免責の立証が許されるのは第一次的責任者である占有者であり、所有者は無過失責任を負う(717条1項)。

・C
【選択肢解説】
妥当でない。生命保険金は保険料の対価としての性質を有し不法行為とは無関係に支払われるものであるから、控除されない(判例)。

・D
【論点】監督義務者の責任(714条)の中間責任性

【考え方】
714条は、監督義務を怠らなかったこと、又は義務を怠らなくても損害が生ずべきであったことの立証による免責を認める中間責任である。サッカーボール事件(最判平27.4.9)は、通常は危険のない行為による偶発的事故につき監督義務違反を否定した。

【選択肢解説】
本肢は714条1項ただし書のとおりであり、妥当である。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。期間は損害及び加害者を知った時から3年(人身侵害は5年)、不法行為の時から20年である(724条・724条の2)。「10年」という期間はない。

関連過去問:R5,問34


問2:不当利得に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  • A:善意の受益者は、その利益の存する限度において返還の義務を負う。
  • B:債務が存在しないことを知りながら弁済として給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。
  • C:不法原因給付をした者は、不当利得としての返還請求はできないが、所有権に基づく返還請求をすることはできる。
  • D:不法の原因が受益者についてのみ存したときは、給付者は返還を請求することができる。
  • E:不法原因給付として未登記建物が引き渡された場合、その所有権は反射的に受益者に帰属する。
【第2問:正解と解説】

正解:C

・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。703条のとおりである。

・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。非債弁済(705条)である。

・C
【論点】不法原因給付と物権的請求権

【考え方】
708条の趣旨(クリーンハンズの原則)は、給付者にいかなる法律構成によっても返還請求を許さない点にある。所有権に基づく返還請求を認めれば708条は容易に潜脱されるため、判例はこれも否定する(最大判昭45.10.21)。

【選択肢解説】
本肢は物権的請求を可能としており妥当でない。よって本問の正解である。

・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。708条ただし書のとおりである。

・E
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。返還請求が否定される反射的効果として所有権は受益者に帰属する(判例)。

関連過去問:R7,問34


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