問5:遺言に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
- A:15歳に達した者は、遺言をすることができる。
- B:夫婦は、同一の証書によって共同で遺言をすることができる。
- C:自筆証書遺言に添付する財産目録は、自書することを要しないが、この場合、遺言者は、その目録の毎葉に署名し、印を押すことを要しない。
- D:公正証書によって遺言をする場合には、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること等が必要であるが、証人の立会いは不要である。
- E:遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、遺言の効力に影響はない。
【第5問:正解と解説】
正解:A
・A
【論点】遺言能力(961条)
【考え方】
遺言は15歳に達した者がすることができる。遺言者の最終意思の尊重という制度趣旨から、行為能力の規定(未成年者の同意等)は遺言には適用されない(962条)。
【選択肢解説】
本肢は961条のとおりであり、妥当である。
・B
【選択肢解説】
妥当でない。遺言は2人以上の者が同一の証書ですることができない(975条・共同遺言の禁止)。夫婦であっても同様。
・C
【選択肢解説】
妥当でない。財産目録の自書が不要となる場合、遺言者はその目録の「毎葉」(両面にあるときは両面)に署名し、印を押さなければならない(968条2項)。
・D
【選択肢解説】
妥当でない。公正証書遺言には証人2人以上の立会いが必要である(969条1号)。
・E
【選択肢解説】
妥当でない。遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分について遺言を撤回したものとみなされる(1024条)。
関連過去問:R5,問35
問6:特別受益、寄与分および特別の寄与に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、妥当でないものはどれか。
- A:共同相続人の中に、被相続人から遺贈を受け、又は婚姻・養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、原則として、その遺贈・贈与の価額を考慮して相続分が算定される。
- B:婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対しその居住用建物又はその敷地を遺贈又は贈与したときは、持戻し免除の意思表示があったものと推定される。
- C:共同相続人の中に、被相続人の事業に関する労務の提供等により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、寄与分が考慮される。
- D:被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人等を除く)は、相続人に対し、特別寄与料の支払を請求することができる。
- E:特別寄与料の支払について当事者間に協議が調わないときは、特別寄与者は、期間の制限なく、いつでも家庭裁判所に協議に代わる処分を請求することができる。
【第6問:正解と解説】
正解:E
・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。特別受益の持戻し(903条1項)である。
・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。903条4項(平成30年改正で新設)のとおり。配偶者保護のための持戻し免除の推定である。
・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。寄与分(904条の2)である。相続人にのみ認められる制度である点が特別寄与料との違い。
・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。特別寄与料(1050条・平成30年改正で新設)である。長男の妻による介護が典型例。
・E
【論点】特別寄与料の請求の期間制限(1050条2項)
【考え方】
家庭裁判所に対する協議に代わる処分の請求は、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月を経過したとき、又は相続開始の時から1年を経過したときは、することができない。相続をめぐる法律関係の早期安定のための短期の期間制限である。
【選択肢解説】
本肢は期間の制限なく請求できるとしており妥当でない。よって本問の正解である。「6か月・1年」の数字は特別寄与料に固有のものとして覚える。
関連過去問:R6,問35
