問1:Aが死亡し、相続人として妻B、子C・Dがいる。次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
- A:Cが相続放棄をした場合、Cの子E(Aの孫)がCを代襲してAの相続人となる。
- B:Cが、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月の熟慮期間(家庭裁判所により期間が伸長された場合は、その伸長後の期間)内に限定承認又は放棄をしなかったときは、Cは単純承認をしたものとみなされる。
- C:B・C・Dが限定承認をする場合、各人が個別に家庭裁判所に申述することができる。
- D:普通預金債権・定期預金債権を含むAの遺産に属する預貯金債権は、可分債権として相続開始と同時に法定相続分に応じて当然に分割されるため、遺産分割の対象とならないとするのが判例である。
- E:Cは、相続開始前であっても、家庭裁判所の許可を得て相続の放棄をすることができる。
【第1問:正解と解説】
正解:B
・A
【選択肢解説】
妥当でない。相続放棄は代襲原因とならない。代襲原因は相続開始以前の死亡・欠格・廃除の3つである。
・B
【論点】熟慮期間と法定単純承認(915条・921条2号)
【考え方】
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月の熟慮期間内に、単純承認若しくは限定承認又は相続放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所が伸長することができる(915条1項)。相続人が3か月の熟慮期間又は家庭裁判所によって伸長された期間内に限定承認又は相続放棄をしなかったときは、単純承認をしたものとみなされる(921条2号)。
【選択肢解説】
本肢のとおりであり、妥当である。起算点が単に被相続人の死亡を知った時ではなく、「自己のために相続の開始があったことを知った時」であること、および家庭裁判所による熟慮期間の伸長があり得ることに注意する。
・C
【選択肢解説】
妥当でない。限定承認は共同相続人の全員が共同してのみすることができる(923条)。
・D
【選択肢解説】
妥当でない。最大決平28.12.19により、預貯金債権は当然分割されず遺産分割の対象となる。
・E
【選択肢解説】
妥当でない。相続開始前の相続放棄は認められない。家裁の許可により開始前に可能なのは遺留分の放棄(1049条)であり、両者の混同を狙った肢である。
関連過去問:-
問2:遺言および遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、妥当でないものはどれか。
- A:自筆証書遺言に相続財産の目録を添付する場合、その目録については自書を要しない。
- B:遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、遺言の全部又は一部を撤回することができる。
- C:前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされる。
- D:配偶者と子が相続人である場合の総体的遺留分の割合は、被相続人の財産の3分の1である。
- E:遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。
【第2問:正解と解説】
正解:D
・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。平成30年改正(968条2項)のとおりである。
・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。1022条のとおりである。
・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。1023条1項の撤回擬制である。
・D
【論点】遺留分の割合(1042条)
【考え方】
総体的遺留分は、直系尊属のみが相続人である場合は3分の1、それ以外の場合は2分の1である。配偶者と子が相続人の場合は2分の1であり、これに各自の法定相続分を乗じて個別的遺留分を算出する。
【選択肢解説】
本肢は3分の1としており妥当でない。よって本問の正解である。「3分の1は直系尊属のみの場合だけ」と例外の方で覚える。
・E
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。1048条のとおり(相続開始から10年の期間制限もある)。
関連過去問:R5,問35
