行政書士 行政法 一問一答(16〜20問)|行政法総論

重要度:A 論点:無効と取消しの区別

問16:行政行為が無効となる基準について判例の立場を述べよ。

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瑕疵が重大かつ明白である場合に無効となる(重大明白説)。明白性は処分の外形上客観的に一見して看取しうるかで判断される(外観上一見明白説)。ただし課税処分のように第三者保護の要請が乏しい場面では、明白性を要求せず、課税要件の根幹に関わる重大な瑕疵があり、被課税者に不利益を甘受させることが著しく不当と認められる例外的事情がある場合に無効とした判例がある(最判昭48.4.26)。

関連過去問:H29,問9


重要度:A 論点:違法性の承継

問17:違法性の承継に関する原則と、これを認めた判例を述べよ。

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先行行為と後行行為が別個の目的を持つ独立の行為である場合、先行行為の違法は後行行為に承継されないのが原則(先行行為は出訴期間内に争うべきため)。例外として、両者が同一の目的を達成するための一連の手続を構成し結合して一つの効果を目指す場合には承継が認められる。判例は、建築基準法の安全認定と建築確認について、両者が結合して初めて効果を発揮すること、安全認定を争う手続保障が十分でないことから違法性の承継を認めた(たぬきの森事件・最判平21.12.17)。

関連過去問:-


重要度:B 論点:瑕疵の治癒・違法行為の転換

問18:瑕疵の治癒と違法行為の転換の意義を述べよ。

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瑕疵の治癒:行政行為の瑕疵が事後の事情により実質的に是正され、有効として扱うこと(例:招集手続に瑕疵があったが全員出席した場合)。判例は法人税更正処分の理由付記の不備は後の審査裁決で理由が明らかにされても治癒されないとした(最判昭47.12.5)。違法行為の転換:瑕疵ある行政行為を別の適法な行政行為として効力を維持すること。いずれも法律による行政の原理との緊張関係から限定的に解される。

関連過去問:-


重要度:A 論点:職権取消しと撤回

問19:職権取消しと撤回の違いを述べよ。

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職権取消し:成立当初から瑕疵(原始的瑕疵)のある行政行為の効力を、処分庁又は監督庁が失わせること。効果は原則遡及する。撤回:適法に成立した行政行為の効力を、その後の事情の変化(後発的事情)を理由に処分庁が将来に向かって失わせること。撤回できるのは処分庁のみ(監督庁は法律の根拠がなければ不可)。名称は「取消し」でも講学上の撤回にあたるものが多い。

関連過去問:H28,問8


重要度:A 論点:撤回の法的根拠

問20:授益的行政行為の撤回に法律の根拠は必要か。判例の立場を述べよ。

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実子あっせん事件(菊田医師事件・最判昭63.6.17)は、指定医師の指定の撤回により相手方の利益を奪う場合でも、撤回すべき公益上の必要性が高いときは、法令上直接明文の規定がなくても指定権限を付与されている行政庁は撤回できるとした。ただし授益的行為の撤回は相手方の信頼保護との比較衡量により制限され、補償を要する場合もある。

関連過去問:H29,問8


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