行政書士 行政法 応用編(5〜6問)|国家賠償法・損失補償

問5:国家賠償法1条の適用に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  • A:「公権力の行使」は権力的作用に限られるため、公立学校における教師の教育活動中の事故について、国家賠償法1条が適用されることはない。
  • B:非番の警察官が制服を着用して職務執行を装い、金品を奪う目的で他人に損害を加えた場合であっても、客観的に職務執行の外形を備えているときは、国は損害賠償責任を負う。
  • C:国家賠償法1条に基づき国が賠償責任を負う場合、被害者は、加害公務員個人に対しても選択的に損害賠償を請求することができる。
  • D:国が被害者に損害を賠償した場合、国は、加害公務員に過失があれば、その程度を問わず求償することができる。
  • E:パトカーによる追跡を受けて逃走する車両が第三者に損害を加えた場合、追跡行為が国家賠償法上違法と評価されることはあり得ない。
【第5問:正解と解説】

正解:B

・A
【選択肢解説】
妥当でない。判例は、公立学校における教師の教育活動も国家賠償法1条1項にいう「公権力の行使」に当たり得るとしている。したがって、「公権力の行使」を権力的作用に限定し、公立学校の教育活動には国家賠償法1条が適用されないとする本肢は誤りである(最判昭62.2.6)。

・B
【論点】職務執行の外形

【考え方】
判例(最判昭31.11.30)は、公務員が主観的に権限行使の意思を持たず、専ら自己の利益を図る目的で行為した場合であっても、その行為が客観的に職務執行の外形を備えるときは、国家賠償法1条1項の「職務を行うについて」に当たり得るとした。

【選択肢解説】
本肢は判例の事案及び結論に沿うため、妥当である。

・C
【選択肢解説】
妥当でない。判例は公務員個人の対外的責任を否定しており、被害者は公務員個人に直接請求できない。

・D
【選択肢解説】
妥当でない。求償は公務員に故意又は「重大な過失」があるときに限られる(1条2項)。軽過失では求償できない。

・E
【選択肢解説】
妥当でない。判例(最判昭61.2.27)は、追跡が職務目的を遂行する上で不必要であるか、又は方法が著しく不相当である場合には違法となりうるとする(当該事案では適法)。「あり得ない」という全称表現が誤り。

関連過去問:R2,問20


問6:国家賠償法2条・3条に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  • A:「公の営造物」には、道路・河川などの不動産だけでなく、公用車や拳銃などの動産も含まれる。
  • B:改修済みの河川については、改修の時点の技術水準等に照らして計画された規模の洪水における流水の通常の作用から予測される災害の発生を防止するに足りる安全性を備えていれば足りる。
  • C:国道の供用に伴う自動車騒音・排気ガス等により沿道住民に被害が生じた場合、道路自体に物理的欠陥がなくても、設置又は管理の瑕疵が認められることがある。
  • D:市町村立中学校の教員の給与を負担する都道府県が国家賠償法3条1項に基づき損害を賠償した場合、当該都道府県は、内部関係で賠償の責任を負うべき市町村に対して求償することができる。
  • E:営造物の設置管理者と費用負担者が異なる場合、被害者は、設置管理者に対してのみ損害賠償を請求することができる。
【第6問:正解と解説】

正解:E

・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。公の営造物は直接公の目的に供される有体物をいい、動産も含まれる。

・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。多摩川水害訴訟(最判平2.12.13)の枠組みである。未改修河川の過渡的安全性(大東水害)との区別。

・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。国道43号線訴訟の機能的瑕疵(供用関連瑕疵)である。

・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。最判平21.10.23のとおり。給与負担者は最終的な賠償責任者である設置者(市町村)に全額求償できる。

・E
【論点】費用負担者の責任(3条1項)

【考え方】
設置管理者と費用負担者が異なるときは「費用を負担する者もまた」責任を負うのであり、被害者はいずれに対しても損害賠償を請求できる。被害者救済の途を広げる規定である。

【選択肢解説】
本肢は設置管理者にのみ請求できるとしており妥当でない。よって本問の正解である。

関連過去問:R7,問21


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