問1:住民の直接参政に関する次の記述のうち、地方自治法の規定に照らし、妥当なものはどれか。
- A:条例の制定改廃請求は、地方税の賦課徴収に関する条例についても行うことができる。
- B:条例の制定改廃請求を受けた長は、議会に付議しなければならず、議会は請求どおりの条例を制定する義務を負う。
- C:住民監査請求は、当該地方公共団体の有権者の50分の1以上の署名をもって行わなければならない。
- D:住民監査請求は、正当な理由がない限り、当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは、することができない。
- E:住民訴訟は、住民監査請求を経ることなく、財務会計上の違法な行為を発見した住民が直ちに提起することができる。
【第1問:正解と解説】
正解:D
・A
【選択肢解説】
妥当でない。地方税の賦課徴収並びに分担金・使用料・手数料の徴収に関する条例は、制定改廃請求の対象から除外されている(74条1項)。
・B
【選択肢解説】
妥当でない。長の付議義務はあるが、議会は請求どおり制定する義務を負わず、否決することもできる。
・C
【選択肢解説】
妥当でない。住民監査請求(242条)に署名数の要件はなく、住民1人でも行える。50分の1の署名を要するのは直接請求としての事務監査請求(75条)である。
・D
【論点】住民監査請求の期間制限(242条2項)
【考え方】
違法または不当な財務会計上の「行為」を対象とする住民監査請求は、正当な理由がある場合を除き、当該行為のあった日または終わった日から1年を経過するとすることができない。
これに対し、違法または不当に公金の賦課・徴収や財産の管理を怠る事実については、原則として1年の期間制限は適用されない。ただし、判例上、怠る事実の監査を遂げるために、特定の財務会計上の行為が財務会計法規に違反して違法であるかを判断しなければならない関係にある場合には、当該行為のあった日または終わった日を基準として期間制限が及ぶ。また、第一の怠る事実が違法であることに基づいて発生した請求権の不行使を第二の怠る事実とする場合には、第一の怠る事実が終わった日を基準として期間制限が及ぶことがある。
【選択肢解説】
本肢は、財務会計上の「行為」に関する地方自治法242条2項の原則を述べており、妥当である。
・E
【選択肢解説】
妥当でない。住民訴訟には監査請求前置主義が採られている(242条の2第1項)。
関連過去問:R4,問23/R6,問23
問2:議会と長の関係および条例に関する次の記述のうち、地方自治法の規定に照らし、妥当でないものはどれか。
- A:長は、議会の議決について異議があるときは、原則として、その送付を受けた日から10日以内に理由を示してこれを再議に付することができる。
- B:議会が長の不信任を議決するには、議員数の3分の2以上の者が出席し、その4分の3以上の者の同意がなければならない。
- C:不信任の議決を受けた長が議会を解散した場合において、解散後初めて招集された議会で再び不信任の議決がされるには、議員数の3分の2以上の者が出席し、その4分の3以上の者の同意が必要である。
- D:条例には、法令に特別の定めがあるものを除くほか、2年以下の拘禁刑、100万円以下の罰金等の刑罰を科す旨の規定を設けることができる。
- E:長の定める規則には、法令に特別の定めがあるものを除くほか、5万円以下の過料を科す旨の規定を設けることができる。
【第2問:正解と解説】
正解:C
・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。一般的拒否権(176条1項)である。条例・予算の再議決には出席議員の3分の2以上の同意を要する。
・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。1回目の不信任議決の要件(178条3項)である。
・C
【論点】再度の不信任議決の要件(178条)
【考え方】
解散後の議会での再度の不信任議決は、議員数の3分の2以上の出席と「過半数」の同意で足りる。選挙により示された民意を背景とするため、1回目(4分の3)より要件が緩和されている。
【選択肢解説】
本肢は2回目も4分の3としており妥当でない。よって本問の正解である。「1回目3/4・2回目過半数」の対比は定番の出題ポイント。
・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除き、条例中に、条例違反者に対し、2年以下の拘禁刑、100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑または5万円以下の過料を科す旨の規定を設けることができる(14条3項)。2025年6月1日の拘禁刑施行後は、「懲役若しくは禁錮」ではなく「拘禁刑」が現行法上の用語である。
・E
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。15条2項のとおり。規則には刑罰を設けられない点との対比。
関連過去問:R4,問22/R7,問23
