問5:行政行為の分類および附款に関する次の記述のうち、判例・通説に照らし、妥当なものはどれか。
- A:講学上の認可を受けずにされた私人間の法律行為は、原則としてその効力を生じない。
- B:講学上の許可を受けずにされた取引行為は、処罰の対象となるだけでなく、私法上も当然に無効となる。
- C:河川の占用許可は、講学上の許可の典型例である。
- D:附款のうち負担は、相手方がこれを履行しない場合、本体たる行政行為の効力が当然に失われる点に特徴がある。
- E:附款は、法律行為的行政行為・準法律行為的行政行為のいずれにも自由に付すことができる。
【第5問:正解と解説】
正解:A
・A
【論点】認可の効力補充性
【考え方】
認可は私人間の法律行為の効力を補充して完成させる行為であるため、認可を欠く行為は効力を生じない(例:農地法の許可のない農地売買)。「無許可=有効・無認可=無効」という効果の対比が分類論の実益である。
【選択肢解説】
本肢は妥当である。
・B
【選択肢解説】
妥当でない。無許可の行為は処罰の対象となるが、私法上の効力は原則として有効である(例:無許可営業での売買契約)。
・C
【選択肢解説】
妥当でない。河川占用許可は、国民が本来有しない特別の権利を設定する講学上の「特許」の典型例である。
・D
【選択肢解説】
妥当でない。負担の不履行があっても本体たる行政行為の効力は当然には失われない(撤回事由となりうるにとどまる)。この点が条件(成就により当然に効力が変動)との違いである。
・E
【選択肢解説】
妥当でない。附款は行政庁の意思表示を要素とする法律行為的行政行為にのみ付すことができ、準法律行為的行政行為には付せないと解されている。また法律の根拠または裁量の存在が必要である。
関連過去問:-
問6:行政行為の職権取消し・撤回および違法性の承継に関する次の記述のうち、判例・通説に照らし、妥当でないものはどれか。
- A:職権取消しは成立当初からの瑕疵を理由とし、その効果は原則として処分時に遡る。
- B:撤回は、適法に成立した行政行為について、後発的な事情の変化を理由に将来に向かってその効力を失わせるものである。
- C:授益的行政行為の撤回は、法令上直接明文の根拠規定がなければ、いかなる場合も行うことができない。
- D:先行行為と後行行為が結合して一つの法効果の実現を目指しており、先行行為を争うための手続的保障が十分でない場合には、例外的に違法性の承継が認められることがある。
- E:課税処分における理由付記の不備という瑕疵は、後の審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、治癒されない。
【第6問:正解と解説】
正解:C
・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。原始的瑕疵・遡及効という職権取消しの基本である。
・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。後発的事情・将来効という撤回の基本である。
・C
【論点】撤回の法的根拠(実子あっせん事件・最判昭63.6.17)
【考え方】
判例は、指定医師の指定の撤回により相手方の利益を奪うことになる場合でも、撤回すべき公益上の必要性が高いと認められるときは、法令上直接明文の規定がなくても、指定の権限を付与されている行政庁は撤回できるとした。撤回に法律の根拠は不要というのが判例の立場である(ただし相手方の信頼保護との比較衡量による制限はある)。
【選択肢解説】
本肢は明文の根拠がなければ「いかなる場合も」撤回できないとしており妥当でない。よって本問の正解である。
・D
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。たぬきの森事件(最判平21.12.17)が安全認定と建築確認について示した違法性の承継の例外的肯定の枠組みである。
・E
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。最判昭47.12.5のとおり。理由付記制度の趣旨(処分の慎重・恣意抑制と不服申立ての便宜)は事後的な理由の開示では満たされない。
関連過去問:H28,問8
