問1:審査請求の審理手続に関する次の記述のうち、行政不服審査法の規定に照らし、妥当なものはどれか。
- A:処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内にしなければならない。
- B:審査庁は、審査請求に係る処分に関与した職員の中から審理員を指名することができる。
- C:審査請求人又は参加人から口頭で意見を述べる機会の申立てがあった場合、審理員は、その機会を与えるかどうかを裁量により判断することができる。
- D:審査請求人又は参加人は、審理手続が終結するまでの間、審理員に対し、提出書類等の閲覧のみならず、その写しの交付を求めることができる。
- E:審理員は、審理手続を終結したときは、裁決書を作成して審査請求人に送付しなければならない。
【第1問:正解と解説】
正解:D
・A
【選択肢解説】
妥当でない。処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内にしなければならない(18条1項)。旧法の60日から3か月への延長は、平成26年の全面改正により行われ、改正法は平成28年4月1日に施行された。
・B
【選択肢解説】
妥当でない。処分に関与した職員は審理員となることができない(9条2項・除斥)。公正な審理という制度趣旨の核心に反する。
・C
【選択肢解説】
妥当でない。審査請求人または参加人から申立てがあった場合、審理員は、原則として口頭意見陳述の機会を与えなければならない(31条1項本文)。ただし、申立人の所在その他の事情により、その機会を与えることが困難であると認められる場合は、この限りでない(同項ただし書)。審理員が一般的な裁量により機会を与えるか否かを決める制度ではない。
・D
【論点】提出書類等の閲覧・交付請求権(38条)
【考え方】
平成26年の全面改正(平成28年4月1日施行)により、審査請求人または参加人は、審理手続が終結するまでの間、所定の提出書類等の閲覧に加え、提出された書面若しくは書類の写しまたは電磁的記録に記録された事項を記載した書面の交付を求めることができるようになった。もっとも、第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときは、審理員は閲覧または交付を拒むことができる。
【選択肢解説】
本肢は、審査請求人または参加人が、審理手続の終結まで閲覧および写し等の交付を求めることができる旨を述べており、妥当である。
・E
【選択肢解説】
妥当でない。審理員が作成して審査庁に提出するのは「審理員意見書」である(42条)。裁決をするのは審査庁であり、審理員ではない。
関連過去問:R4,問15/R5,問16
問2:審査請求の執行停止および裁決に関する次の記述のうち、行政不服審査法の規定に照らし、妥当でないものはどれか。
- A:審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
- B:処分庁の上級行政庁である審査庁は、必要があると認める場合には、職権で執行停止をすることができる。
- C:審査請求人の申立てがあった場合において、処分等により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は原則として執行停止をしなければならない。
- D:審査庁が執行停止の決定をした場合、内閣総理大臣は、審査庁に対し異議を述べることができる。
- E:審査庁は、審査請求人の不利益に当該処分を変更することができない。
【第2問:正解と解説】
正解:D
・A
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。執行不停止の原則(25条1項)である。
・B
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。処分庁又はその上級行政庁である審査庁は職権による執行停止が可能(25条2項)。それ以外の審査庁は申立てによる(同3項)。
・C
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。義務的執行停止(25条4項)である。
・D
【論点】内閣総理大臣の異議の有無(行審法と行訴法の対比)
【考え方】
内閣総理大臣の異議は行政事件訴訟法27条の制度であり、司法権による執行停止への行政側の対抗手段として設けられたものである。行政部内の自己統制である行政不服審査には、そもそもこのような制度を置く必要がなく、存在しない。
【選択肢解説】
本肢は行審法に異議制度があるかのように述べており妥当でない。よって本問の正解である。両法の執行停止の比較(職権の可否・義務的停止・異議)は最頻出の横断論点。
・E
【選択肢解説】
妥当である(=正解肢ではない)。不利益変更の禁止(48条)である。
関連過去問:R5,問15/R6,問16
