行政書士 行政法 初級編(1〜3問)|行政事件訴訟法

重要度:A 論点:処分性

問1:取消訴訟の対象となる処分性に関する判例の説明として適切なものはどれか。

  • A:病院開設中止の勧告は行政指導であるため、処分性は否定された
  • B:用途地域の指定は、地域内の不特定多数者への一般的抽象的な制約にとどまるため、処分性が否定された
  • C:市立保育所を廃止する条例の制定行為は、立法作用であるため処分性が否定された
【第1問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:不適切。病院開設中止勧告は、従わなければ保険医療機関の指定を受けられなくなる仕組みを考慮して処分性が肯定された(最判平17.7.15)。
・B:適切。最判昭57.4.22の判旨である。【試験対策】処分性は「形式」でなく「法効果の個別具体性+救済の実効性」で判断。肯定(土地区画整理計画・保育所廃止条例・病院勧告)と否定(用途地域・通達)を仕組みの違いで説明できるようにする。
・C:不適切。特定の保育所の廃止のみを内容とし、入所児童等の法的地位を直接奪うため処分性が肯定された(最判平21.11.26)。

関連過去問:R5,問19


重要度:A 論点:原告適格

問2:取消訴訟の原告適格に関する判例の説明として適切なものはどれか。

  • A:都市計画事業認可の取消訴訟において、事業地の周辺住民には一切原告適格が認められない
  • B:公正競争規約の認定に対して、一般消費者にも当然に原告適格が認められる
  • C:都市計画事業認可について、騒音・振動等により健康又は生活環境に係る著しい被害を直接受けるおそれのある周辺住民には原告適格が認められる
【第2問:正解と解説】

正解:C
【解説】
・A:不適切。小田急訴訟大法廷判決は一定範囲の周辺住民の原告適格を肯定した。
・B:不適切。主婦連ジュース事件は一般消費者の不服申立て適格(原告適格と同枠組み)を否定した。単なる一般的利益では足りない。
・C:適切。小田急訴訟(最大判平17.12.7)の判旨であり、9条2項の考慮事項を用いた拡大の代表例。【試験対策】「肯定=小田急・もんじゅ・新潟空港・既存業者/否定=主婦連・近鉄特急・サテライト大阪(一般住民)」の判例仕分け表を作る。

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重要度:A 論点:訴えの利益

問3:狭義の訴えの利益に関する判例の説明として適切なものはどれか。

  • A:運転免許停止処分の取消訴訟は、停止期間が経過し、その後無違反で1年を経過した場合でも、訴えの利益が失われない
  • B:処分基準に先行処分を受けたことを加重事由とする定めがある場合、加重期間内は先行処分の取消しを求める訴えの利益が認められる
  • C:建築確認の取消訴訟は、建築工事が完了した後も当然に訴えの利益が存続する
【第3問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:不適切。運転免許停止処分の効力は停止期間の経過により消滅し、その後1年間無違反・無処分で経過したことにより、当該処分歴を理由とする法的な不利益もなくなったため、取消しによって回復すべき法律上の利益は失われるとされた(最判昭55.11.25)。
・B:適切。最判平27.3.3は、行政手続法12条1項に基づき定められ公にされている処分基準に、先行処分を理由として後行処分の量定を加重する定めがある場合、その基準と異なる取扱いを相当と認めるべき特段の事情がない限り、基準と異なる取扱いは裁量権の範囲の逸脱又は濫用となるとした。そのため、加重期間中は先行処分の取消しによって回復すべき法律上の利益が認められる。【試験対策】訴えの利益は「取消しによって回復する法的利益が残っているか」で判断し、名誉・感情等の事実上の利益だけでは足りない。
・C:不適切。工事完了後は建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われる(最判昭59.10.26)。市街化調整区域の開発許可(完了後も利益あり)との対比に注意。

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